[O27-2] 先天性心疾患に対する循環ECMO
【背景】先天性心疾患に対する体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation; ECMO)は、多様な解剖学的構造のため管理に工夫を要し、治療段階ごとの血行動態に応じた複雑な管理が時に要求される。
【目的】先天性心疾患に対する循環ECMOの現状と問題点を調査する。
【方法】当院PICUで管理されたECMO症例のうち先天性心疾患に対し循環ECMOを要した患者を対象とした。対象期間は2010年3月から2018年8月とし、患者背景、ECMO導入理由、ECMO管理の経過、転帰を診療録から後方視的に検討した。
【結果】対象期間中に122症例に対してECMO管理が行われ、先天性心疾患に対する循環ECMO症例は38例であった。症例の年齢中央値は0歳3ヶ月[日齢0 - 32歳]、新生児症例は11例、成人症例は1例であった。体重中央値は3.7kg [2.1 - 66kg]、男性が20例・女性が18例であった。疾患のうちFontan candidate症例が16例(うち左心低形成症候群が8例)、二心室修復後の症例は15例であった。
VA-ECMOで導入となった症例は36例であり、うち4例でVV-ECMOへのconversionが行われた。VV-ECMOで導入された症例は2例であった。36例で開胸によるカニュレーションが行われていた。ECMO管理期間の中央値は14日[3 - 51日]であった。ECMO導入後6例に心臓カテーテル検査が施行され、5例に計8回の心臓カテーテル治療が行われた。また、13例に計16回の外科的介入が行われた。ECMO離脱に至った症例は20例(53%)、生存退院した症例は14例(37%)であった。ECMO離脱不能例の死因は、感染症3例、中枢神経障害2例(頭蓋内出血1例、脳浮腫1例)、他14例は原疾患であった。
ECMO管理を要した期間は離脱例(中央値7日[3 - 50日])に対して離脱不能例は中央値17日[3 - 51日]と統計学的に有意に長く、新生児症例は離脱不能例に有意に多かった。ECMO離脱例では心臓カテーテル治療が計7回(離脱不能例では計1回)、外科的治療が計11回(離脱不能例では計5回)施行されたが、統計学的有意差はなかった。
【結論】先天性心疾患に対する循環ECMOは原疾患による離脱不能例が多く、特に新生児症例では転帰不良であった。本検討では、長期化したECMO管理症例は予後不良であった。必要に応じて心臓カテーテル検査をはじめとした評価を遅滞なく行い、介入の要否を速やかに判断することは、ECMO管理期間を短縮でき良好な転帰に繋がる可能性がある。
【目的】先天性心疾患に対する循環ECMOの現状と問題点を調査する。
【方法】当院PICUで管理されたECMO症例のうち先天性心疾患に対し循環ECMOを要した患者を対象とした。対象期間は2010年3月から2018年8月とし、患者背景、ECMO導入理由、ECMO管理の経過、転帰を診療録から後方視的に検討した。
【結果】対象期間中に122症例に対してECMO管理が行われ、先天性心疾患に対する循環ECMO症例は38例であった。症例の年齢中央値は0歳3ヶ月[日齢0 - 32歳]、新生児症例は11例、成人症例は1例であった。体重中央値は3.7kg [2.1 - 66kg]、男性が20例・女性が18例であった。疾患のうちFontan candidate症例が16例(うち左心低形成症候群が8例)、二心室修復後の症例は15例であった。
VA-ECMOで導入となった症例は36例であり、うち4例でVV-ECMOへのconversionが行われた。VV-ECMOで導入された症例は2例であった。36例で開胸によるカニュレーションが行われていた。ECMO管理期間の中央値は14日[3 - 51日]であった。ECMO導入後6例に心臓カテーテル検査が施行され、5例に計8回の心臓カテーテル治療が行われた。また、13例に計16回の外科的介入が行われた。ECMO離脱に至った症例は20例(53%)、生存退院した症例は14例(37%)であった。ECMO離脱不能例の死因は、感染症3例、中枢神経障害2例(頭蓋内出血1例、脳浮腫1例)、他14例は原疾患であった。
ECMO管理を要した期間は離脱例(中央値7日[3 - 50日])に対して離脱不能例は中央値17日[3 - 51日]と統計学的に有意に長く、新生児症例は離脱不能例に有意に多かった。ECMO離脱例では心臓カテーテル治療が計7回(離脱不能例では計1回)、外科的治療が計11回(離脱不能例では計5回)施行されたが、統計学的有意差はなかった。
【結論】先天性心疾患に対する循環ECMOは原疾患による離脱不能例が多く、特に新生児症例では転帰不良であった。本検討では、長期化したECMO管理症例は予後不良であった。必要に応じて心臓カテーテル検査をはじめとした評価を遅滞なく行い、介入の要否を速やかに判断することは、ECMO管理期間を短縮でき良好な転帰に繋がる可能性がある。