第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

補助循環 症例

[O28] 一般演題・口演28
補助循環 症例02

2019年3月1日(金) 10:30 〜 11:20 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:荒川 裕貴(東京都立多摩総合医療センター 救命救急センター)

[O28-6] 幼児RS肺炎に対し静脈脱血-静脈送血体外式膜型人工肺を導入し救命しえた3症例

武田 真梨子, 高橋 希, 服部 憲幸, 立石 順久, 安部 隆三, 織田 成人 (千葉大学大学院 医学研究院 救急集中治療医学)

【背景】RSウイルス(Respiratory syncytial virus; RSV)は,乳幼児肺炎の原因として半数以上を占める重要な病原体である.時に重症化し,人工呼吸管理を始めとする集中治療を要することもある.今回我々はRSV肺炎による急性呼吸不全を来した幼児に対して静脈脱血‐静脈送血体外式膜型人工肺(Veno-venous extracorporeal membrane oxygenation; VV-ECMO)を導入し救命しえた3症例を経験したため報告する.【症例提示】(症例1)2歳女児,体重7.8kg.早産極低出生体重児および喉頭浮腫のため気管切開されていた.咳嗽と喘鳴の悪化を来しRSV肺炎の診断で入院となった.第5病日に人工呼吸管理となり,さらに一酸化窒素(NO)吸入療法やHFOが導入されるも増悪したため,第9病日にVV-ECMO導入 .ECMO導入後は徐々に肺炎像が改善し,第13病日にECMO離脱,第22病日に合併症無くICU退室となった.(症例2)1歳7か月男児,6.0kg.早産超低出生体重児でWilson Mikity症候群があり,在宅酸素療法中.喘鳴と発熱をみとめ前医に入院,RSV肺炎の診断で第10病日より人工呼吸管理となり,当院に転院となった.第11病日にNO吸入療法が導入されたが効果は乏しく,第15病日にVV-ECMO導入 .肺炎の経過は良好であり第21病日にECMO離脱,第23病日に抜管,第24病日に合併症無くICUを退室した.(症例3)3歳女児,15.9kg.既往に染色体異常があり,出生直後より重度の呼吸障害および気道狭窄のため気管切開管理中.発熱と呼吸状態の悪化を来し,RSV肺炎の診断で第2病日より人工呼吸管理となり,第5病日に当院に転院.第7病日よりNO吸入療法が導入されたが,呼吸状態はさらに悪化し第9病日にVV-ECMO導入.導入後は背景疾患より頻発する痙攣のコントロールや二次性に生じた細菌性肺炎の治療に難渋したが,呼吸状態は徐々に改善し,第17病日にECMO離脱,第22病日に人工呼吸管理下に前医へ転院となった.【結語】重篤な呼吸障害を来したRSV肺炎に対しVV-ECMOを導入し救命しえた3症例を経験した.小児に対するECMOは施行可能な施設が限られるが,適切なECMO管理を行うことで良好な予後が得られる可能性が示唆された.