[O30-2] Augmented Renal Clearanceに関する多施設後ろ向き観察研究
【目的】
Augmented Renal Clearance (ARC)は、全身性炎症反応症候群の存在などにより薬物の腎クリアランスが増大する現象である。ARCを発症した場合には、腎クリアランスの亢進により水溶性薬物の血中濃度が低下するため、その効果が減弱し、患者の臨床経過に影響を与える可能性が考えられている。我々はこれまで、単施設の疫学的研究を継続的に行ってきたが、本邦における多施設のデータを集積し検討した報告は未だない。今回、2施設の救命救急センターへ入院した感染症症例を対象としたARCに関する疫学的研究を行ったため報告する。
【方法】
本検討では、2013年4月から2017年3月の4年間に当院救命救急センター及び高知医療センター救命救急センターへ24時間以上入院した感染症の患者を対象症例とし後ろ向き観察研究を実施した。このうち18歳未満、入院時血清Cr値1.1mg/dl以上の症例を除外症例とした。入院時に求めたestimated glomerular filtration rate (eGFR) が130 mL/min/1.73m2以上の症例をARCと定義し、ARC群とnon-ARC群の2群に分類後、年齢・性別・SOFA score・APACHE II score・血液培養陽性率・ICU死亡率及びICU滞在期間を比較検討した。
【結果】
対象症例は280例であり、年齢: 74歳 [interquartile range (IQR):64-83]、男性: 145例 (51.8%)、SOFA score: 5 (IQR:3-7)、APACHE II score: 20 (IQR:16-25)であった。対象症例の中で、ARCは19例 (ARC発症率6.8%) に認められ、 ARC群とnon-ARC群の2群間の比較では、ARC群で年齢が有意に若年であった(p<0.05)が、 性別・SOFA score・APACHE II score・血液培養陽性率・ICU死亡率及びICU滞在期間は両群間で有意差を認めなかった。
【結語】
本検討では、入院時腎機能正常な感染症症例においてARCの発症頻度は6.8%であり、ARCとICU死亡率及びICU滞在期間との関連は認めなかった。今後も継続した検討が必要である。
Augmented Renal Clearance (ARC)は、全身性炎症反応症候群の存在などにより薬物の腎クリアランスが増大する現象である。ARCを発症した場合には、腎クリアランスの亢進により水溶性薬物の血中濃度が低下するため、その効果が減弱し、患者の臨床経過に影響を与える可能性が考えられている。我々はこれまで、単施設の疫学的研究を継続的に行ってきたが、本邦における多施設のデータを集積し検討した報告は未だない。今回、2施設の救命救急センターへ入院した感染症症例を対象としたARCに関する疫学的研究を行ったため報告する。
【方法】
本検討では、2013年4月から2017年3月の4年間に当院救命救急センター及び高知医療センター救命救急センターへ24時間以上入院した感染症の患者を対象症例とし後ろ向き観察研究を実施した。このうち18歳未満、入院時血清Cr値1.1mg/dl以上の症例を除外症例とした。入院時に求めたestimated glomerular filtration rate (eGFR) が130 mL/min/1.73m2以上の症例をARCと定義し、ARC群とnon-ARC群の2群に分類後、年齢・性別・SOFA score・APACHE II score・血液培養陽性率・ICU死亡率及びICU滞在期間を比較検討した。
【結果】
対象症例は280例であり、年齢: 74歳 [interquartile range (IQR):64-83]、男性: 145例 (51.8%)、SOFA score: 5 (IQR:3-7)、APACHE II score: 20 (IQR:16-25)であった。対象症例の中で、ARCは19例 (ARC発症率6.8%) に認められ、 ARC群とnon-ARC群の2群間の比較では、ARC群で年齢が有意に若年であった(p<0.05)が、 性別・SOFA score・APACHE II score・血液培養陽性率・ICU死亡率及びICU滞在期間は両群間で有意差を認めなかった。
【結語】
本検討では、入院時腎機能正常な感染症症例においてARCの発症頻度は6.8%であり、ARCとICU死亡率及びICU滞在期間との関連は認めなかった。今後も継続した検討が必要である。