[O31-5] 簡便に施行できる腹腔鏡下腹壁神経ブロック
【緒言】腹腔鏡下手術は一般に侵襲の小さい手術とされており、開腹手術で鎮痛目的に行われる硬膜外麻酔は通常行わない。しかし創部痛に関しては何らかの鎮痛が必須であり、現在さまざまな鎮痛法が検討されている。近年は超音波ガイド下に腹直筋鞘ブロック(rectus sheath block:RSB)、腹横筋膜面ブロック(transversus abdominis plane block:TAPB)、腰方形筋ブロック(quadratus lumborum block:QLB)を行うことが普及しつつあるが、外科医が片手間に行う手技としては容易とはいえず、また、過穿刺による内臓損傷の危険も伴う。当科では外科医が腹腔鏡手術終了時に腹腔内から観察しつつRSB、TAPB、QLBを行っており、その方法などについて報告する。【方法】腹腔鏡下胆嚢摘出術。手術終了前に右前腋窩線上に留置した5mm portより5mm斜視鏡を挿入、腹腔内から観察しつつ臍部・剣状突起部創の左右に22G針を穿刺、腹膜がテント状に進展されたところで腹膜前腔に局所麻酔薬を注入する。鎖骨中線上、右前腋窩線上創部についてはこれらのやや頭側・右側から針を穿刺、針先が腹膜から透見できたら5mm前後引き抜いたところが腹横筋膜面にあたるのでここで局所麻酔薬を注入する。0.25%レボブピバカインを計40mlを使用する。数例の経験で手技が獲得でき、3分で施行可能である。【結果】これまでに腹腔鏡下腹壁神経ブロックに伴う合併症は経験していない。麻酔科管理症例では超音波ガイド下に、外科麻酔症例では腹腔鏡下に神経ブロックを行っているが、同等の鎮痛効果が得られている。【結語】腹腔鏡下腹壁神経ブロックはエコーを必要とせず、手技も容易で、合併症もなく、有効な鎮痛が得られた。