第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

腎 研究

[O32] 一般演題・口演32
腎 研究01

Fri. Mar 1, 2019 3:50 PM - 4:40 PM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:成宮 博理(京都第二赤十字病院救急科)

[O32-1] 【優秀演題(口演)】血中・尿中α-Klotho蛋白と人工心肺使用後の急性腎障害との関連性の検討

伊藤 秀和1, 大矢 真1, 衣笠 絵梨1, 佐野 文昭1, 太田 晴子1, 徐 民恵1, 冨田 なつみ2, 堀田 祐志2, 木村 和哲2, 祖父江 和哉1 (1.名古屋市立大学大学院医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野, 2.名古屋市立大学大学院薬学研究科 病院薬剤学分野)

【背景】分泌型α-Klothoの、急性腎障害 (AKI) における臨床的意義は定まっていない。【目的】人工心肺 (CPB) 使用後AKIの早期診断における分泌型α-Klothoの有用性を明らかにする。【方法】症例対照研究。2017年8月から6カ月間に、当院でCPBを使用する心臓外科手術を受けた患者が対象。術後36時間以内にAKIを発症した群 (AKI群) と発症しなかった群 (非AKI群) で、麻酔導入後、CPB離脱直後、離脱2時間後の血中・尿中α-Klotho量を比較検討。AKIはKDIGOの基準で診断。α-Klothoおよびクレアチニン (Cre) の測定はELISA、統計ソフトはEZR、データは中央値 (四分位値) で示す。【結果】症例は30例 (男17例、女13例) 、年齢は73.5 (69-80.5) 歳、術前の血清Cre値は0.96 (0.66-1.10) mg/dL、術後36時間以内にAKIを発症したのは9例 (30%)。AKI群と非AKI群で、麻酔導入後、CPB離脱直後、離脱2時間後の血中α-Klotho量はそれぞれ、340 (303-373) vs 425 (337-492)、369 (271-400) vs 421 (313-502)、431 (413-477) vs 570 (467-607) pg/mLで、離脱2時間後のみ統計学的有意差あり (p=0.045) 。尿中α-Klotho量はそれぞれ、0.00 (0.00-0.11) vs 1.02 (0.00-2.83) 、0.00 (0.00-0.00) vs 1.47 (0.37-2.55) 、0.00 (0.00-0.68) vs 1.04 (0.00-1.91) μg/gCreで、麻酔導入後およびCPB離脱直後で統計学的有意差あり (p=0.0424, 0.000295) 。ROC曲線のAUCは、CPB離脱直後の尿中α-Klothoで0.915 (95%CI 0.827-1) 、他の採血・採尿ポイントでは0.624-0.735。CPB離脱直後の尿中α-Klothoのcut-off値を0.17 μg/gCreとした場合、感度100%、特異度81%、陽性的中率69%、陰性的中率100%。【結論】CPB離脱直後の尿中α-Klotho量の低下は、術後36時間以内のAKI発症の予測に有用である。