[O32-2] フロセミド反応性は血漿NGAL高値の患者においてAKI進展の予測因子となる
【背景】フロセミド負荷試験(FST)は重症AKIへの進展を予測することが報告されている。FSTでは体重1kgあたり1mgの投与量が必要とされるが、実際は様々な投与量が投与されている。今回フロセミドに反応する尿量とAKIバイオマーカーと併用し重症AKIへの進展の予測を検討した。【方法】フロセミド投与から2時間の尿量を投与量で割った値をfurosemide response (FR)と定義し、後ろ向きにICU患者における血漿NGALとFRによるAKI進展のリスクを評価した。フロセミドの投与量は腎機能・心機能を含めた全身状態から決定した。アウトカムは1週間以内のAKI stage 3への進展とした。【結果】95人のICU患者が解析対象となり、うち18人がアウトカムを満たした。AKI stage 3への進展予測をROC解析したところAUC, カットオフ値は以下のとおりであった;NGAL 0.80 [0.67-0.88], 142 ng/ml, FR 0.87 [0.73-0.94], 3.9 ml/mg。NGAL低値(<142 ng/ml)でAKI stage 3に進展した患者は1人であり、NGAL高値(>142ng/ml)のICU患者におけるFRのAKI stage 3への進展予測能を評価することとした。ROC解析したところAUCは0.84 [0.67-0.94]、カットオフ値は3.9 ml/mgであった。FR <3.9をFR陰性、FR ≧3.9をFR陽性と定義した場合、NGAL高値・FR陰性患者(15人)では13人(86.7%)がAKI stage 3に進展したのに対し、NGAL高値・FR陽性患者(36人)では4人(11%)がAKI stage 3に進展し、そのオッズ比は52倍 (8.5-319.5)であった(p<0.01)。【結論】NGAL高値群でもFRはAKI進展を予測しえた。バイオマーカーとFRを組み合わせてAKIリスクをより層別化できる可能性がある。