[O33-6] 当院での持続血液透析濾過法(CHDF)における遊離ヘモグロビンの値を用いた回路交換についての検討
【背景・目的】赤血球の溶血によって血液中にヘモグロビンが遊離される。血漿遊離ヘモグロビン(以下F-Hb)の値が上昇すると尿細管壊死により急性腎障害を発症すると言われている。現在本院では、回路凝固や返血圧、TMPの上昇がなければ、48時間ごとにCHDFの回路交換を行っている。尿細管壊死によりさらなる腎機能低下、末期腎不全への移行を防ぐためにF-Hb変動によっては、48時間以内であっても回路交換すべきか検討する必要があり、必要性について検証をおこなった。【方法】 2018年6月よりCHDF施行23名の患者を対象とした。CHDF回路の脱血、返血、排液の3箇所でラジオメーター社製HemoCuePlasma/LowHbフォトメータを用いてF-Hbを1日2回測定し値の変動を調査した。今回カットオフ値を0.13g/dlとした。【結果】23名の患者のうち2名(以下患者A、患者B)において0.13g/dl以上のF-Hbが検出された。患者のF-Hb上昇確認後、回路交換を行うとF-Hbが低下したことを確認した。患者Aでは25時間30分経過で脱血側F-Hbが0.38g/dl、返血側F-Hbが0.37g/dlと高い値を検出し、回路交換後には脱血側が0.02g/dl、返血側が0.02g/dlと低下した。排液側は0.02g/dlから0.01g/dlと大きな変化はなかった。患者Bでは2回検出された。1回目は45時間経過で脱血側が0.12g/dl、返血側が0.13g/dlから回路交換後、脱血側が0.05g/dl、返血側が0.04g/dlと低下した。排液側は0.02g/dlから0.01g/dlであった。2回目は22時間44分経過で脱血側が0.13g/dl、返血側が0.18g/dlから回路交換後脱血側が0.04g/dl、返血側が0.05g/dlと低下した。排液側は0.02g/dlから0.01g/dlであった。他患者は脱血側の平均値が0.049g/dl最大値が0.1g/dl、最小値が0.01g/dlであった。返血側の平均値が0.036g/dl最大値が0.09g/dl、最小値が0.01g/dlであった。排液側では平均値が0.013g/dl、最大値が0.03g/dl、最小値が0g/dlであった。【考察】回路凝固や圧上昇が起こらずCHDFが48時間施行可能であったとしても、F-Hbの値によっては腎機能悪化、末期腎不全を防ぐために回路交換が必要である可能性が示唆された。ハプトグロビンを投与せずにF-Hbが低下したのは溶血原因となる因子が回路交換によって除去された可能性が考えられる。今後は更なる検討を重ね、回路交換におけるカットオフ値の推測、及び適切な測定回数、測定間隔の調査をしていく。