第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 症例

[O34] 一般演題・口演34
循環 症例01

Fri. Mar 1, 2019 9:00 AM - 10:00 AM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:櫻谷 正明(広島県厚生農業協同組合連合会廣島総合病院(JA広島総合病院)救急・集中治療科)

[O34-6] 二方向性心室頻拍を起こしたカフェイン中毒の一例

田邉 孝大, 田邉 真樹, 清水 洋, 中村 一葉, 小林 未央子, 濱邊 祐一 (墨東病院 救命救急センター)

背景:二方向性心室頻拍は、一心拍ごとにQRSの軸が反対方向にシフトする稀な心室頻拍である。二方向性心室頻拍を来すものとしては、カテコラミン誘発性心室頻拍、ジギタリス中毒、アコニチン(トリカブト)中毒が知られている。今回我々は、カフェインの過量服用により、二方向性心室頻拍を含む致死性不整脈を来した症例を経験したので報告する。症例:23歳の女性、薬物過量服用による自殺企図の既往がある。自宅で意識を失い当院救急外来に搬送となった。当院搬送時、会話可能な状態にまで意識は回復しバイタルサインも安定していた。心電図では当初上室性頻拍を認めていたが、その後二方向性心室頻拍が出現し、そのまま心室細動へと至った。除細動にて一旦心拍再開が得られたものの、短時間で再び心室細動へと至ったことから、当科、救命センターで診療を引き継いだ。CPRを継続し薬剤としてアミオダロン、マグネシウム製剤、ランジオロールの投与を行ったところ、心拍再開が得られた。心拍再開後も上室性および心室性期外収縮が頻回に見られた。この後、家族の情報からカフェインを致死量に相当する10g服用していたことが判明した。カフェイン中毒により惹起された不整脈と判断しランジオロールを継続投与する方針とした。時間の経過とともに期外収縮も減少、消失したためランジオロールも中止としたが、以後再発は認めなかった。意識も回復し、第3病日には抜管に成功、神経学的後遺症も認めなかった。考察、結論:少数ではあるが、これまでにもカフェイン中毒による二方向性心室頻拍の報告は存在する。薬物過量服用患者の診療を行う機会も多い我々が、二方向性心室頻拍を認めた際には、従前より言われているカテコラミン誘発性心室頻拍、ジギタリス中毒、アコニチン中毒に加えてカフェイン中毒も想起する必要がある。