第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 研究

[O36] 一般演題・口演36
循環 研究01

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:上田 恭敬(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター)

[O36-1] 本邦の心臓血管集中治療室における非循環器疾患の状況と短期予後について

門岡 浩介1, 宮地 秀樹2, 高橋 健太1, 黄 俊憲1, 三軒 豪仁1, 中田 淳1, 細川 雄亮1,2, 太良 修平1, 山本 剛1, 清水 渉1,2 (1.日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科, 2.日本医科大学 循環器内科)

【背景】米国では心臓血管集中治療室(Cardiovascular intensive care unit; CICU)における非循環器疾患併存患者の死亡率の高さが大きな問題となっており、集中治療専門医と循環器内科専門医資格を有したCardiac Intensivistの必要性が叫ばれている。しかし、日本においてそれらに関するデータはない。【目的】当院のclosed CICUにおいて、短期予後およびCICU滞在期間に対する非循環器疾患の関連を明らかにする。【方法】2017年1月1日から12月31日の1年間に日本医科大学付属病院(全877床)のCICU(12床)に入院した連続490人の主病名、併存疾患、CICU滞在期間およびCICU内予後を調査し、多変量解析を行った。本研究における非循環器疾患には、入院時の併存症と入院後に合併した疾患の両方を含めた。【成績】主病名として最も多い疾患は急性心筋梗塞(42%)で、急性心不全(20%)、不安定狭心症(7%)が続き、非循環器疾患は3.7%(内訳は肺疾患;1.8%, 意識消失発作;1.0%)であった。全患者のCICU内予後は4.7%で、CICU滞在期間の中央値は4日(IQR; 2-8日)であった。CICU内の非循環器疾患に関して、全患者の42.2%(207例)が、急性呼吸不全、急性腎障害または敗血症をCICU管理中に併存あるいは発症した。ロジスティック回帰分析において、急性呼吸不全、敗血症はCICU内予後に有意に関連していた(Odds ratio; 13.28, p=0.016、Odds ratio 19.43, p<0.001)。また、重回帰分析において、急性腎障害は、CICU滞在期間に有意に関連した(β=0.144, p=0.002)。【結論】日本におけるclosed CICUに入室する患者の多くは急性非循環器疾患を併発しており、それらの疾患の多くが米国と同様にCICU内死亡およびCICU滞在期間と有意に関連していた。本研究から日本においても急性非循環器疾患管理に精通したCardiac intensivistが必要であると考えられた。