第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 研究

[O36] 一般演題・口演36
循環 研究01

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:上田 恭敬(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター)

[O36-2] 術前心原性ショックを呈する急性心筋梗塞後合併症手術症例の検討

馬瀬 泰美, 中村 文, 井上 良哉, 稲垣 順大, 平野 弘嗣, 徳井 俊也 (伊勢赤十字病院 胸部外科)

2008年から2017年での、急性心筋梗塞合併症での手術症例は17例(心破裂8例、心室中隔穿孔9例)。その内訳は、男性6例、女性11例、年齢57~88歳(75.7±9.4)、在院死亡8例(死亡率47%)であった。生存例9例(心破裂5例、心室中隔穿孔4例)の詳細:AMI発症から手術までの時間126±155時間、術前ECMOによる循環補助を要した症例は2例、他の7例はIABPのみで手術室に搬送可能であった。術式は、心室中隔穿孔に対しては、全例、右室アプローチによるduble patchでの穿孔部閉鎖を施行、心破裂症例は、全例縫合止血を施行した。手術時間300±164分、体外循環時間239±128分であった。術後IABP抜去4.8±3.6日、術後在院日数38.4±20日、術後合併症として、敗血症、せん妄、肺化膿症、脳梗塞などを認めた。死亡例8例(心破裂3例、心室中隔穿孔5例)の詳細:AMI発症から手術までの時間52.1±71.6時間、術前ECMOによる循環補助を要した症例は5例で、術前の血行動態は極めて不良であった。術式は、心室中隔穿孔に対しては、全例、右室アプローチによるduble patchでの穿孔部閉鎖を施行、心破裂症例は、全例縫合止血を施行した。手術時間403±248分、体外循環時間264±128分であった。8例中6例は心不全から回復できず、残りの2例は、IABP抜去可能であったが、縦隔洞炎、MRSA肺炎にて死亡した症例であった。AMI発症から短時間で血行動態が悪化する症例は、術前ECMOによる循環補助を要する程、血行動態が破綻し、劇的な経過をたどる。救命は難しいとも言えるが、即座のECMO導入を含め、チーム医療の能力が問われる。救命症例は、ほぼ術後7日以内にIABPの補助が不要となっており、術後7日以内に心不全から回復してくれば、救命できる可能性が高い(逆に言うと、術後7日以内に心不全からの回復が見込めないと救命困難)。心不全から回復した後も、特に感染に伴う合併症が多く、感染症対策が重要である。 以上の結果を踏まえ、詳細な症例提示を行いたい。