第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 研究

[O36] 一般演題・口演36
循環 研究01

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:上田 恭敬(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター)

[O36-6] アミオダロン点滴静注・経口とβ遮断薬経口を併用した開心術後心房細動POAFの予防

大野 博司1, 春藤 啓介2, 土肥 正浩2 (1.洛和会音羽病院ICU/CCU, 2.洛和会音羽病院心臓血管外科)

 開心術後新規発症の術後心房細動POAFの発症頻度は30%以上であり、とくに冠動脈バイパス術と弁置換術併用では50%に達する。POAFは死亡率と合併症率上昇と関連しており、合併症として脳梗塞、心不全、感染症が挙げられる。またPOAFを発症すると入院期間延長、再入院率上昇、医療費高騰につながる。 POAFの治療は血行動態安定している場合にβ遮断薬を用いたレートコントロールが推奨されている。そして2016年のRCTでPOAF発症後にβ遮断薬によるレートコントロールを行った群とアミオダロンを用いたリズムコントロールを行った群で入院期間、死亡率、合併症(薬剤副作用、血栓・出血など)に差がないことが示されている。しかし米国、カナダと日本国内の開心術後管理および患者背景・入院期間には医療経済の側面も含め大きな差がある。 POAFに対する治療法はエビデンスが集積されてきているが、POAF発症によって起こる様々な合併症、死亡率上昇を考慮した場合にPOAF予防がさらに重要だと考える。POAF予防にβ遮断薬、アミオダロン、カルシウム拮抗薬、ジゴキシン、マグネシウム、フレカイニド、スタチンなどが用いられる。 当院では、血中マグネシウム値を高めに維持した上で、アミオダロン静注・経口および血行動態安定後の経口β遮断薬の併用、そして術前からスタチン投与歴があれば術直後から継続する形でPOAF予防を行っている。  アミオダロンは点滴静注・経口ともに体重での投与量調整が必要ないこと、肝代謝であるため腎機能に応じた投与量調整が必要ないため、超急性期はそのα・β遮断作用による徐脈・血圧低下に注意すれば比較的使いやすい。また開心術後の大部分で術直後はα・β刺激作用のある血管作動薬が用いられるため、術直後よりβ遮断薬を投与することは有効ではないと考えており、アミオダロンを第一選択としている。そして術翌日より経口アミオダロンと経口β遮断薬を併用している。経口アミオダロンは点滴静注と合わせ7日間投与、経口β遮断薬は適宜調整としている。 今回、過去4年間の開心術症例の中で、220例についてPOAF予防でアミオダロン、β遮断薬併用プロトコルを用いた。2週間以内のPOAF発症は29例であり13.2%であった。脳合併症は0例であった。アミオダロン、β遮断薬併用はPOAF予防に有効だと考えられた。当日は患者背景・術式別の有効性、副作用、合併症およびAF発症例の原因について報告する。