[O37-1] 低心機能患者の開心術後頻脈性不整脈に対するLandiololの使用経験
【背景】Landiololは本邦で開発された超短時間作用型β遮断薬である。β1選択制が高いことから開心術後の頻脈性不整脈に対するLandiololの有効性は多く報告されているが低心機能症例での使用経験の報告は少ない。【目的】低心機能患者の開心術後頻脈性不整脈に対するLandiolol使用の効果と副作用について後方視的に検討する。【方法】2015年1月から2016年12月までの2年間に大阪大学ICU内で開心術後にLandiololを投与された先天性心疾患を除く成人症例168例のうち、術前心エコーにて左室駆出率(LVEF) 50%未満であった78例を対象とした。患者背景ならびにLandiolol開始時の不整脈、投薬前後の血行動態とInotropic scoreを検討した。【結果】年齢 60.7±14.9(Mean±SD)歳、LVEF 28.4 ±11.8 %、冠動脈疾患34例、心筋症32例、弁膜症 10例、心筋炎2例であった。補助循環装置についてはIABP 18例、VA-ECMO 5例、左室補助人工心臓 (LVAD) 16例、両心室補助人工心臓 (BiVAD) 5例であった。Landiolol開始時の不整脈は心房細動 54例、心房頻拍 3例、洞性頻拍 6例、心室頻拍 11例で投与6時間後に57例 (73%) は洞調律に復調していた。Landiololの投与量は1.8±0.8γであった。Landiolol投与前と投与後6時間では、心拍数が118.4±20.5 bpmから94.7±15.1 bpm (変化率80.6±17.5 %)へと有意に低下し、心係数は 2.4±0.6 L/min/m2から2.7±0.6 L/min/m2へと有意に上昇した。一方、血圧や肺動脈圧、中心静脈圧におよびInotropic scoreにおいては有意な変化はなかった。低血圧や徐脈による中止もみられなかった。【結論】Landiololは低心機能の開心術後頻脈性不整脈症例においても、血行動態や全身状態を評価しながら少量から慎重に投与することで、安全かつ有効に使用することが可能であった。