第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 研究

[O38] 一般演題・口演38
循環 研究02

Fri. Mar 1, 2019 3:00 PM - 3:50 PM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:小坂 誠(昭和大学横浜市北部病院麻酔科)

[O38-3] 急性心不全における入院時Procalcitoninと短期/長期生命予後についての検討:C-Reactive Proteinとの比較

南 雄一郎, 門脇 拓, 沼田 まどか, 春木 伸太郎, 重城 健太郎, 石田 一世, 溝渕 景子, 南 義成, 志賀 剛, 萩原 誠久 (東京女子医科大学 循環器内科)

目的:Procalcitonin(PCT)は、C-Reactive Protein(CRP)より細菌感染に特異的バイオマーカーとされている。しかしながら明らかな感染を伴わない慢性心不全においても、その重症度に伴いPCTが上昇することが報告されている。急性心不全(AHF)において、PCTと予後についての報告は乏しく、PCTとCRPのリスク層別化能の差異についても、ほとんど検討がなされていない。よってAHFの短期/長期の生命予後予測因子として、入院時PCTの有用性をCRPと比較しつつ検討した。方法:2013年9月から2017年3月に当院CCUで入院時にPCTおよびCRPを測定したAHF患者から、活動性の感染、悪性腫瘍、膠原病を有する患者を除外した180例を対象とした。結果:ROC曲線を用いて総死亡に対する曲面下面積(AUC)を算出したところ、入院時PCT (AUC 0.724; カットオフ≧0.19 ng/ml; P=0.012)はCRP (AUC 0.617; カットオフ>2.41 mg/dl; P=0.021)よりも良好な予後予測能を示した。院内および30日死亡率に関しては、PCTとCRPはほぼ同様のリスク層別化能を示した(図AおよびB)が、観察期間中央値310日間の生命予後を検討した結果、PCTのほうが長期予後予測能に優れる結果であった(図C)。交絡因子を補正した多変量解析の結果、PCT高値は独立した生命予後予測因子であり(調整ハザード比 4.48; 95%信頼区間 1.75-11.49; P=0.002)、そのハザード比はCRP(調整ハザード比 3.15; 95%信頼区間 1.33-7.44; P=0.009)より高値であった。結論:集中治療管理を要するAHF患者の入院時PCTが、長期生命予後の予測因子として有用である可能性が示された。
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