[O41-3] 高度救命救急センターにおける外傷入院症例での肺塞栓症の予防と今後の展望
【背景】外傷による入院症例は、長期間臥床、骨折に対する四肢のシーネ固定、凝固異常などにより静脈血栓塞栓症を惹起する可能性が高く、その予防が重要である。外傷症例での肺塞栓症 (PE) 発症率 (0.24%) は、周術期PE発症率 (0.03%) に比べ高いことが報告されている。PE予防に早期の未分画ヘパリン (UFH) 皮下注射施行が有効であるが、本邦での外傷症例での検討は少ない。
【目的】早期のUFH皮下注射施行プロトコール導入と外傷による入院後PE発症の関連、および発症例の特徴を検討すること。
【方法】研究デザインは診療録を用いた後方視的検討による観察研究。期間は2013年1月から2018年3月、当センターへ搬入され入院した外傷1467例。なお、当センターでは2017年10月以降、PE予防策として入院症例全例に下肢静脈エコー検査を施行し、禁忌のない症例に早期のUFH皮下注射施行プロトコールを導入している (UFH皮下注射 定点1か月施行率:前5%、後56%) 。導入前後とPE発症の関連を検討し、さらに、発症例の患者背景、診療経過、転帰につき検討した。
【結果】プロトコール導入前1326例、導入後143例のうち、PE発症は導入前4例 (0.30%) 、後1例 (0.70%) (p = 0.401) であった。UFH皮下注射による出血性合併症は認めなかった。
PE発症5例のうち、男性は3例 (60%)、年齢 (以下、中央値) は62歳、ISSは8、TRISSから算定した予測生存率 97.0 %、受傷部位は頭部2例、脊椎3例、顔面1例、胸部2例、四肢5例であった。深部静脈血栓症の予防法は、間欠的空気圧迫方法・弾性ストッキング4例であった。また、入院からPE発症までの日数は20日、PE発症時の症状は胸痛・呼吸困難1例、頻呼吸・頻脈1例、ショックによる心停止2例、無症候性1例であった。PE発症時点で離床不可は2例、歩行器による歩行1例、車椅子移乗2例 (移乗初日1例、移乗後22日1例) であった。PEに対する処置は、抗凝固療法は全例に行われ、下大静脈フィルター留置4例、PCPS1例、経皮的血栓吸引術1例であった。5例全例、生存退院した。
【結論】プロトコール導入前後で、PE発症率に差はなかったが、全例において合併症は見られなかった。研究デザインに限界があるため、今後さらに症例を蓄積し、プロトコール導入の妥当性について検討していく必要がある。
【目的】早期のUFH皮下注射施行プロトコール導入と外傷による入院後PE発症の関連、および発症例の特徴を検討すること。
【方法】研究デザインは診療録を用いた後方視的検討による観察研究。期間は2013年1月から2018年3月、当センターへ搬入され入院した外傷1467例。なお、当センターでは2017年10月以降、PE予防策として入院症例全例に下肢静脈エコー検査を施行し、禁忌のない症例に早期のUFH皮下注射施行プロトコールを導入している (UFH皮下注射 定点1か月施行率:前5%、後56%) 。導入前後とPE発症の関連を検討し、さらに、発症例の患者背景、診療経過、転帰につき検討した。
【結果】プロトコール導入前1326例、導入後143例のうち、PE発症は導入前4例 (0.30%) 、後1例 (0.70%) (p = 0.401) であった。UFH皮下注射による出血性合併症は認めなかった。
PE発症5例のうち、男性は3例 (60%)、年齢 (以下、中央値) は62歳、ISSは8、TRISSから算定した予測生存率 97.0 %、受傷部位は頭部2例、脊椎3例、顔面1例、胸部2例、四肢5例であった。深部静脈血栓症の予防法は、間欠的空気圧迫方法・弾性ストッキング4例であった。また、入院からPE発症までの日数は20日、PE発症時の症状は胸痛・呼吸困難1例、頻呼吸・頻脈1例、ショックによる心停止2例、無症候性1例であった。PE発症時点で離床不可は2例、歩行器による歩行1例、車椅子移乗2例 (移乗初日1例、移乗後22日1例) であった。PEに対する処置は、抗凝固療法は全例に行われ、下大静脈フィルター留置4例、PCPS1例、経皮的血栓吸引術1例であった。5例全例、生存退院した。
【結論】プロトコール導入前後で、PE発症率に差はなかったが、全例において合併症は見られなかった。研究デザインに限界があるため、今後さらに症例を蓄積し、プロトコール導入の妥当性について検討していく必要がある。