第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

血液・凝固 研究

[O42] 一般演題・口演42
血液・凝固 研究02

Fri. Mar 1, 2019 6:00 PM - 6:50 PM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:小川 覚(京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学教室)

[O42-1] 緊急大量出血手術症例に院内在庫新鮮凍結血漿のみで凝固障害は防げるか-濃縮フィブリノゲン常備の必要性-

安達 厚子1, 安藤 幸吉1, 櫻田 幽美子1, 黒瀧 健二1, 佐藤 麻理子1, 小林 朋恵1, 入間田 大介1, 山内 正憲2 (1.仙台市立病院 麻酔科, 2.東北大学病院 麻酔科)

【目的】濃縮フィブリノゲンがなく, 院内新鮮凍結血漿(FFP)在庫が限られており(血液型により2から12単位), 血小板製剤(PC)も予約制である当院において, 緊急手術で大量出血となった症例のフィブリノゲン(Fib)および血小板値の推移を調査し, 濃縮フィブリノゲン製剤の必要性を検討した。【方法】2014年11月~2019年7月までに当院で手術申込みから2時間以内に緊急手術となり術中出血量3500ml以上となった症例の患者背景, 使用輸血量, 周術期Fib値・血小板数, 術中最低体温・pH値, 術後経過を後ろ向きに検討した。【結果】該当は7症例で(表), 全例院内在庫以上のFFP輸血を施行したが, 最低Fib150mg/dl未満の割合は術中100%, 術後は60%であった。血小板5万/μl以下の割合は術中100%であった。(数値は中央値(四分位範囲))【結論】全例で, 院内在庫を超えるFFP投与にも関わらず周術期に濃縮フィブリノゲン製剤投与適応とされるFib150mg/dlを下回っており,血小板数も術中5万/μlを下回っていた。 現状では緊急大量出血において院内在庫のFFPでは希釈性凝固障害の回避は不可能であることが明らかとなった。もう一つの重要な止血因子である血小板も予約制でありこれ以上の確保は難しい。後天的な大量出血に対するフィブリノゲン製剤の保険適用は認められていないが, 血液院内在庫の少ない当施設では稀な大量出血症例を安全に管理するためには濃縮フィブリノゲン製剤の常備を検討する必要がある。
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