[O42-2] 外傷におけるADAMTS13活性低下はDICと関連する
【背景】ADAMTS13(A disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motif 13)はvon Willebrand因子を切断し、血小板粘着・凝集を制御する酵素であり、その活性が低下する血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)などの病態では過剰な血小板血栓形成を起こすことが知られている。敗血症などの病態においても二次的にADAMTS13活性の低下が見られ、凝固障害や臓器障害などとの関連が指摘されている。しかし、外傷におけるADAMTS13活性の動態はこれまで検討されていない。
【目的】外傷におけるADAMTS13活性の動態と凝固障害との関連を解明する。
【方法】当院救急科へ搬送された外傷症例において、ADAMTS13活性を含む血液凝固線溶系マーカーを測定した。
【結果】平均ISS(Injury Severity Score)20.6の39例を検討した結果、15.4%(6/39例)の症例で外傷直後にADAMTS13活性50%未満への低下が見られた。また、ADAMTS13活性はIL-6やPLT、PT、FDPなど炎症・凝固線溶系マーカーと関連した変化が見られ、特にAT活性やAlbuminの変化との強い相関関係が見られた(AT, r=0.513, p<0.001; Albumin, r=0.647, p<0.001)。ADAMTS13活性50%未満への低下は、DIC発症と有意に関連した(odds ratio=7.429, 95% confidence interval 1.121-49.244, p=0.038)。外傷直後の50%未満へのADAMTS13活性低下は、FFP投与と有意に関連した上で(odds ratio=9.000, 95% confidence interval 1.327-61.025, p=0.028)、経過と共に活性は改善した。全例で動脈血栓症の発生は見られず、15.4%(6/39例)に発生したDVTとの関連も見られなかった(p=0.925)。
【結論】外傷急性期において、ADAMTS13活性の低下が見られ、その低下は凝固線溶異常と関連した。また、50%未満への低下はDIC発生やFFP投与と関連した。外傷急性期においてAT活性低下と共にADAMTS13活性は低下し、DICの進展に関与している可能性があり、その臨床的意義やFFP投与を含めた補充療法の必要性について今後更なる検討が必要である。
【目的】外傷におけるADAMTS13活性の動態と凝固障害との関連を解明する。
【方法】当院救急科へ搬送された外傷症例において、ADAMTS13活性を含む血液凝固線溶系マーカーを測定した。
【結果】平均ISS(Injury Severity Score)20.6の39例を検討した結果、15.4%(6/39例)の症例で外傷直後にADAMTS13活性50%未満への低下が見られた。また、ADAMTS13活性はIL-6やPLT、PT、FDPなど炎症・凝固線溶系マーカーと関連した変化が見られ、特にAT活性やAlbuminの変化との強い相関関係が見られた(AT, r=0.513, p<0.001; Albumin, r=0.647, p<0.001)。ADAMTS13活性50%未満への低下は、DIC発症と有意に関連した(odds ratio=7.429, 95% confidence interval 1.121-49.244, p=0.038)。外傷直後の50%未満へのADAMTS13活性低下は、FFP投与と有意に関連した上で(odds ratio=9.000, 95% confidence interval 1.327-61.025, p=0.028)、経過と共に活性は改善した。全例で動脈血栓症の発生は見られず、15.4%(6/39例)に発生したDVTとの関連も見られなかった(p=0.925)。
【結論】外傷急性期において、ADAMTS13活性の低下が見られ、その低下は凝固線溶異常と関連した。また、50%未満への低下はDIC発生やFFP投与と関連した。外傷急性期においてAT活性低下と共にADAMTS13活性は低下し、DICの進展に関与している可能性があり、その臨床的意義やFFP投与を含めた補充療法の必要性について今後更なる検討が必要である。