[O42-5] ICUにおける迅速血清遊離ヘモグロビン測定を用いた血栓診断の可能性
【背景】遠心ポンプを用いたECMO、LVAD治療が増加しており、ポンプ内血栓形成による溶血は重大な合併症の一つである。血栓が発生した場合、回路/ポンプ交換を余儀なくされるが、植込型LVADの場合など施行するためには慎重な検討が必要である。従来、溶血の有無は尿の性状、血清LDH測定から診断していた。 しかしLDHは他の因子の影響を受けやすく、ポンプ内血栓を証明する根拠とはなりにくい。加えて循環不全に陥った患者は経過中、無尿である事も少なくない。近年、簡易かつ迅速に血清遊離ヘモグロビン(pfHb)の測定が可能となり、溶血の診断に有用との報告が増えている。【目的】迅速pfHb測定が、溶血やポンプ内血栓を容易に証明する手段となりうるかを検討した。【方法】対象は2017年8月から2018年6月までに当施設で遠心ポンプを用いたV-A、V-V ECMOを24時間以上装着した、連続した患者22人。ポンプ内血栓の有無は補助循環離脱後のポンプを肉眼的に確認した。遠心ポンプ内血栓の発生場所を分類し、pfHbを比較した。分類は、grade 0:血栓なし、grade 1:軸以外のハウジング内、grade 2:軸および軸受とした。【結果】grade 0 12人(平均pfHb 0.04g/dL), grade 1(平均pfHb 0.08g/dL) 5人, grade 2(平均 pfHb 0.11g/dL) 5人であった。遠心ポンプの構造上、高度溶血へとつながる軸および軸受に付着する血栓ではpfHb値が著明な高値を示した。【結論】pfHbの測定値でポンプ内血栓の発生およびその部位を推測するできる可能性がある。