第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

中毒

[O43] 一般演題・口演43
中毒01

Fri. Mar 1, 2019 9:00 AM - 9:40 AM 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:久野 将宗(日本医科大学多摩永山病院救命救急センター)

[O43-5] 治療抵抗性ショックを呈したカルシウム拮抗薬,アンギオテンシン2受容体拮抗薬,β遮断薬過量内服の1例

石黒 宣夫, 長谷川 新, 吉岡 真吾, 田中 昭光, 安藤 みゆき, 青山 英和, 加藤 千雄, 亀谷 良介 (名古屋徳洲会総合病院 循環器内科)

症例は 44 歳,男性.既往に高血圧,うつ病,2型糖尿病,両側大腿骨頭壊死(両側人工骨頭置換術施行)あり.家族内トラブルで希死念慮が増悪し,自殺目的にニフェジピン 1,160 mg,アムロジピン 150 mg,カンデサルタン 480 mg,カルテオロール 200 mgを内服した.父親が意識状態の悪い患者を発見し,内服 11 時間後に当院を受診した.来院時JCS1-1,血圧測定不能,脈拍数 63 回/分・整,呼吸数 16 回/分,SpO2(room air) 94 %,体温 34.2 ℃とショック状態であり,動脈ライン,中心静脈カテーテルを留置した.血液検査で腎不全,高カリウム血症を認めたが,動脈血ガス分析でアシドーシスや低酸素血症を認めなかった.収縮期血圧50台のためドーパミンで治療を開始したが,10 γでも血圧の改善を認めなかった.ノルアドレナリンを併用したが,0.3 γでも収縮期血圧 60台のため,アドレナリン持続点滴を併用した.またグルカゴン静脈注射,グルコン酸カルシウム持続点滴,脂肪製剤を使用し,アドレナリン 0.1 γで収縮期血圧 80 台を維持することが可能となった。酸素化不良のためBiPAPを要したが、第 2 病日には自尿を認め収縮期血圧 100 台を維持できたため,第 3 病日に昇圧薬を全て中止した.全身状態も安定し,第 19 病日に独歩退院し,精神科受診となった.過去に国内で降圧薬 3 剤過量内服の報告を認めず,今回の症例は貴重な報告と考えられたため、若干の考察を含め報告する.