第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(口演)

中毒

[O44] 一般演題・口演44
中毒02

Fri. Mar 1, 2019 9:40 AM - 10:30 AM 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:辻田 靖之(滋賀医科大学医学部附属病院救急・集中治療部)

[O44-1] 当院救命救急センターICUにおけるカフェイン中毒34症例の傾向と治療法の検討

藤井 健一郎1, 池田 貴夫1, 坂崎 多佳夫1, 大漉 祐己1, 新垣 大智1, 篠原 潤1, 神宮司 成弘1, 植西 憲達1, 岩田 充永1, 平川 昭彦2 (1.藤田保健衛生大学 医学部 救急総合内科学, 2.藤田保健衛生大学 医学部 一般外科学)

【背景・目的】近年,カフェイン中毒は増加の一途を辿っている。その理由として,カフェイン製剤の大量服用に関するマスコミ報道の影響やインターネットの自殺サイトからの情報が影響していると考えられる。また薬局やインターネットで容易に大量入手が可能であることも問題点として挙げられる。当院救命救急センターICUでも,ここ最近は2016年5例,2017年12例,2018年9月までで8例と増加傾向である。当院におけるカフェイン中毒症例の傾向と,治療法への反応を検討し,実際の症例を提示しながら報告する。【方法】本研究は,2011年5月から2018年9月までに藤田保健衛生大学病院でカフェイン中毒と診断され,救命救急センターICU病棟に入院した患者34例を対象にした症例集積研究である。患者の年齢,男女比,カフェイン内服量,バイタルサイン,血液検査所見,不整脈の有無や施行した治療について検討する。特に血液浄化療法を施行した症例では,血液浄化前後の頻脈や不整脈,尿量,電解質の変化について検討する。【結果】男女比は女性が61.8%とやや多く,年齢の中央値は23歳で16~20歳が13人と最も多かった。服薬量の中央値は3.78gで1g以上2g未満が最も多かったが,致死量である5g以上の服用例も13例いた。人工呼吸器を要した症例は17例,血液浄化を要した症例は9例,両方とも必要であった症例は8例であった。人工呼吸・血液浄化の施行理由としては多量内服,不整脈,意識障害があった。来院時のバイタルサインは,体温が中央値37.0度,収縮期血圧が中央値120mmHg,脈拍数が中央値104回/分,GCSが中央値15であった。血液検査所見は,来院時K値が中央値3.20mmol/Lと低値で,内服量が多い症例ではK値が低い傾向にあった。また,人工呼吸・血液浄化療法を要するような重症例では,来院時K値は中央値2.85mmol/Lとより低い傾向にあった。今回はさらに血液浄化療法の施行前後でのバイタルサインや不整脈,尿量,電解質の変化についても検討し報告する。【結論】近年カフェイン中毒患者は,その入手の容易さから増加している。救急および集中治療に関わる医師は,カフェイン中毒の特徴やその治療法について熟知していることが望まれる。