[O44-2] 急性カフェイン中毒7例の検討
【背景】カフェインは容易に入手可能で, 過剰摂取症例では致死率が比較的高い. 中毒濃度は25μg/ml以上で, 致死濃度は80-100μg/mlとされている. カフェインは血液透析(Hemodialysis, HD)により薬物が除去できることが知られている. 血中濃度が80μg/ml以上, 臨床症状が増悪傾向の場合は, HDが行われることが多い. しかし, カフェインの血中濃度が測定可能な施設は少なく, どのような症例に対してHDまたは対処療法(Symptomatic treatment, Sym)を選択するかについてはよくわかっていない. 【目的】当院でHDもしくはSymで加療をおこなった急性カフェイン中毒について検討をおこなった. 【方法】急性カフェイン中毒症例について, 治療方法, 摂取量, 内服から受診までの時間, 臨床症状, 症状改善, 中毒濃度以下になるまでの時間について検討をおこなった. 【結果】HD群5例, Sym群2例であった. 摂取量はHD群で184mg/kg, Sym群で71.6mg/kgであった. 内服から受診までの時間はHD群2時間, Sym群17.5時間であった. 来院時の血中カフェイン濃度はHD群62.9mg/ml, Sym群52.17mg/mlであった. 中枢神経症状を呈した症例はなく, 悪心・嘔吐などの消化器症状をHD群4例, Sym群2例であった. 治療開始から消化器症状消失までの時間はHD群 5時間, Sym群15.5時間であった. また, 治療開始から中毒濃度を下回るまでの時間はHD群 3.25時間, Sym群27時間であった. 【結論】摂取量が多く, 内服からの時間が短い症例に主にHDが施行されていた. HD群ではSym群に比べて症状改善, 中毒濃度の改善が早い傾向にあった. 摂取量が多く, 臨床症状があり, 今後カフェインの血中濃度がさらに上昇することが予測される症例ではHDの導入を検討するべきである.