第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

中毒

[O44] 一般演題・口演44
中毒02

Fri. Mar 1, 2019 9:40 AM - 10:30 AM 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:辻田 靖之(滋賀医科大学医学部附属病院救急・集中治療部)

[O44-6] 急性医薬品中毒患者の重症化予測スコアリングモデルの検討

岸原 悠貴1, 安田 英人2, 須崎 紳一郎1, 原田 尚重1, 原 俊輔1, 蕪木 友則1, 東 秀律3, 平山 優1, 山本 浩大郎1, 鈴木 秀鷹1 (1.武蔵野赤十字病院 救命救急センター, 2.亀田総合病院 集中治療科, 3.日本赤十字社和歌山医療センター)

【背景】本邦では多数の急性医薬品中毒患者が救急搬送されているが、多くの症例は経過観察のみで十分であり特別な治療介入の必要がなく膨大なコストが費やされる結果となっている。しかし、本邦で急性薬品中毒患者の重症化予測因子の検討はなされておらず、急性医薬品中毒患者が重症化するか否かの判断は困難であるため、臨床での入院加療の必要性における妥当な意思決定が困難となっている。【目的】救急搬送された急性医薬品中毒患者が後に重症管理が必要となる予後予測モデル作成を行う【方法】研究デザインは単施設後方視的コホート研究であり、2013年1月から2015年12月までに武蔵野赤十字病院救命センターに入院した急性医薬品中毒患者を対象とした。除外基準は18歳未満、データ欠損(内服薬の種類、錠数不明)である。主要評価項目は重症管理の有無とし、重症管理は、人工呼吸管理が必要、腎代替療法が必要、人工心肺装置の使用が必要、24時間以上遷延する意識障害、血管作動薬(ノルアドレナリン、アドレナリン、ドブタミン)が必要なショック、拮抗薬の使用など中毒学的専門治療が必要(活性炭の単回投与、胃洗浄は除く)、のいずれかに該当する場合とした。重症管理の予測スコアリングモデルをロジスティック回帰分析により複数作成し、それらを統計学的に比較し、最適な予測モデルを用いてさらに内的妥当性の検討を行った。【結果】253例の解析を行い、重症管理群43例(17.0%)、非重症管理群210例(83.0%)であった。ハイリスク薬剤の内服の有無(OR 3.6; 95%CI, 1.7-8.2; p = 0.001)、来院時のGCS9未満の有無(OR 2.6; 95%CI, 1.3-5.7; p = 0.01)、心電図変化の有無(OR 1.4; 95%CI, 0.6-3.0; p = 0.46)、内服薬の錠数150錠以上の有無(OR 5.2; 95%CI, 2.4-11.3; p<0.001)を用いた予測スコアリングモデルの統計学的妥当性が最も高く、ROC曲線を用いるとAUC:0.8であった。このスコアリングモデルを本研究の患者群に当てはめると、重症管理が必要となる割合はスコア0.65以下で10/141人(7.1%)、0.8-1.29で8/58人(13.8%)、1.31-1.95で17/45人(37.8%)、2.11で8/9人(8.9%)という結果であった。【結論】本研究の重症管理の予測スコアリングモデルによって、急性薬物中毒患者の重症管理を予測しうる。