[O46-2] 一酸化炭素中毒による臥床で肺動脈血栓塞栓症・心肺停止となったが、集学的治療により社会復帰した一例
【背景】自殺企図による一酸化炭素中毒に合併した肺動脈血栓塞栓症による心停止に対して集学的治療により社会復帰した症例を経験したため報告する。
【臨床経過】35歳男性、2日間仕事に来ないため同僚が訪室すると、自宅内の浴室に燃え尽きた練炭があり廊下に仰臥位で倒れているところを発見され救急要請となった。救急隊到着時、Japan coma scale Ι-3であり当院搬送となったが、来院直前に意識レベルの低下を認めた。来院後、ベッド移動した際に意識レベルがGlasgow coma scale E1V1M1に低下し、脈拍は触知困難となった。心電図波形はpulseless electrical activityと判断し、二次救命措置を施行しながら経皮的心肺補助装置(Percutaneous caidiopulmonary support:PCPS)を装着した。推定心停止時間は約40分であった。その後の血管造影検査にて肺動脈血栓塞栓症の診断となった。同時に撮影した頭部CTでは両側淡蒼球に低吸収域を認めており、一酸化炭素中毒の画像所見と一致した。PCPS装着までに時間がかかり、瞳孔も散大していたことから血栓摘出術は選択せず、抗凝固療法を継続した。PCPS挿入後、Swan-Gantzカテーテルでの肺動脈圧は第3病日に48/20mmHgと高値となった。心収縮力が改善してきたため第4病日にPCPSを離脱した。第5病日に経胸壁心エコーでは、右室負荷所見は消失した。経時的に酸素化・換気も良好となったため第10病日に人工呼吸器を離脱した。生体腎移植のレシピエントであり、循環不全により急性腎障害(KDIGO分類stage 3)を認め、血中クレアチニン濃度は7.04mg/dlと高値を示したが第14病日には2.90mg/dlと腎機能障害の改善を認め、退院時には血中クレアチニン 1.75mg/dlに改善を認めた。来院時のCOHbは1.5%と上昇を認めなかったがCT画像から一酸化炭素中毒と診断し、第13病日に頭部MRIを施行したところ淡蒼球にT2, FLAIRで高信号を認め、画像からも一酸化炭素中毒と診断した。第17病日には傾眠、自発性の低下、高次脳機能障害を認め一酸化炭素中毒の遷延性脳症と診断したが、経時的に改善を認めた。リハビリテーションも積極的に参加し、歩行器歩行も可能となったため、第30病日に転院となった。転院後もリハビリテーションを継続し、日常動作に不自由なく、自発性・意欲も回復し社会復帰となった。
【結論】一酸化炭素中毒に合併した循環虚脱に対して補助循環を含めた積極的救命処置は有用である。
【臨床経過】35歳男性、2日間仕事に来ないため同僚が訪室すると、自宅内の浴室に燃え尽きた練炭があり廊下に仰臥位で倒れているところを発見され救急要請となった。救急隊到着時、Japan coma scale Ι-3であり当院搬送となったが、来院直前に意識レベルの低下を認めた。来院後、ベッド移動した際に意識レベルがGlasgow coma scale E1V1M1に低下し、脈拍は触知困難となった。心電図波形はpulseless electrical activityと判断し、二次救命措置を施行しながら経皮的心肺補助装置(Percutaneous caidiopulmonary support:PCPS)を装着した。推定心停止時間は約40分であった。その後の血管造影検査にて肺動脈血栓塞栓症の診断となった。同時に撮影した頭部CTでは両側淡蒼球に低吸収域を認めており、一酸化炭素中毒の画像所見と一致した。PCPS装着までに時間がかかり、瞳孔も散大していたことから血栓摘出術は選択せず、抗凝固療法を継続した。PCPS挿入後、Swan-Gantzカテーテルでの肺動脈圧は第3病日に48/20mmHgと高値となった。心収縮力が改善してきたため第4病日にPCPSを離脱した。第5病日に経胸壁心エコーでは、右室負荷所見は消失した。経時的に酸素化・換気も良好となったため第10病日に人工呼吸器を離脱した。生体腎移植のレシピエントであり、循環不全により急性腎障害(KDIGO分類stage 3)を認め、血中クレアチニン濃度は7.04mg/dlと高値を示したが第14病日には2.90mg/dlと腎機能障害の改善を認め、退院時には血中クレアチニン 1.75mg/dlに改善を認めた。来院時のCOHbは1.5%と上昇を認めなかったがCT画像から一酸化炭素中毒と診断し、第13病日に頭部MRIを施行したところ淡蒼球にT2, FLAIRで高信号を認め、画像からも一酸化炭素中毒と診断した。第17病日には傾眠、自発性の低下、高次脳機能障害を認め一酸化炭素中毒の遷延性脳症と診断したが、経時的に改善を認めた。リハビリテーションも積極的に参加し、歩行器歩行も可能となったため、第30病日に転院となった。転院後もリハビリテーションを継続し、日常動作に不自由なく、自発性・意欲も回復し社会復帰となった。
【結論】一酸化炭素中毒に合併した循環虚脱に対して補助循環を含めた積極的救命処置は有用である。