[O47-2] V-A ECMO導入と集学的治療により救命し得た左冠動脈主幹部病変が原因の急性心筋梗塞による心停止症例の1例
【背景】左冠動脈主幹部(以下LMT)病変が原因の心筋梗塞で、V-A ECMOの導入症例の1年後生存率は33%と報告されている。今回、LMT病変が原因の心筋梗塞により、来院直後に心肺停止となるもV-A ECMOを導入し、全身管理に難渋するも救命できた一例を経験したので報告する。【症例提示】48歳男性。胸痛発作を自覚し精査予定であったが、再度胸苦、意識消失し救急要請。救急隊到着時、意識JCS:10、呼吸数:30回/min、SpO2:90%、血圧:93/45mmHg、心拍数:70bpm、体温:35.6℃。搬送途上でJCS:100まで増悪、当院到着し、ベット移動後に総頚動脈触知不能。V-A ECMO導入を含めた蘇生を開始。初期波形は無脈性電気活動(以下PEA)で、VFとPEAを繰り返したが、心停止から25分後にV-A ECMO導入、38分後に心拍再開。心臓カテーテル検査でLMTに99%狭窄認め、経皮的冠動脈形成術を施行。経皮的大動脈バルーンパンピング(以下IABP)挿入し、CT撮像後ICUに入室。入院後経過:36℃の平温療法施行。第5病日にV-A ECMO離脱、第9病日にIABP離脱。しかし、肺炎の合併及び肺水腫進行。APRVによる呼吸管理、腹臥位療法行うも呼吸器離脱困難で、第16病日に気管切開施行。第22病日に人工呼吸器離脱、第32病日に気切チューブ抜去。EFは30%程度、収縮期血圧は80mmHg台。リハビリ継続し、歩行訓練可能。第81病日にリハビリ目的に転院。【結論】LMT病変が原因の心筋梗塞でV-A ECMOが導入された場合、機械補助無しでの退院率は29.6%とされている。LVADの導入、心移植を見据えた治療戦略が必要であり、適切な評価を行いながら治療継続することが必要と考えられる。