[O47-6] 心停止蘇生後の昏睡患者には早期に鎮静剤を投与する
【背景】心停止蘇生後昏睡患者において、再灌流障害による二次性脳障害の進行が指摘されており、体温管理療法が有効と多く報告されている。一方、蘇生後のてんかんやミオクローヌスの発症により高体温の遷延やてんかんによる脳損傷進行の可能性も危惧されているが、一連の心停止蘇生後症候群において鎮静剤や抗てんかん剤の使用については統一した見解が得られていない。【目的】初期波形VT・VFの心停止蘇生後患者において蘇生後急性期の最大意識レベルがGCS M4以下の昏睡患者に対して、鎮静剤や抗てんかん剤使用の有効性について検討する。【方法】2015年4月から2018年8月までに当院に搬送された全心停止患者404例のうち、80歳未満の初期波形VT・VFかつ蘇生後の最大意識レベルがM4以下の症例を対象とし電子カルテベースで後ろ向きに調査した。主な検討項目は心停止時間、蘇生後のGCS、鎮静剤投与の時期とし、主要アウトカムを28日後の脳機能分類(Cerebral Performance Categories : CPC)とした。【結果】対象患者は19名で、うち7例は体外循環式心肺蘇生であった。全例に体温管理療法を行った。目撃なしが3名、うち最終健常時間が同定できない症例が1例あった。最大GCSの総和は3が4例、4が9例、5が2例、6が3例、7が1例であった。総心停止時間が20分以内の早期自己心拍再開の 6例については、外傷性脳出血を合併し死亡した1例を除いて全例CPC 1であった。心停止から鎮静剤投与までの時間について、28日後神経学的転帰良好群と不良群で比較をすると(69±54、181±84(分):p<0.01)と統計学的有意差をもって短かった。そのうち鎮静剤を初療室で投与開始している早期投与群8例(中央値 38(31、61)分)においては、外傷性脳出血の症例を除いて全例神経学的転帰良好であった。【結論】蘇生後昏睡状態の患者において、早期に鎮静剤を使用し管理することで神経学的転帰の改善が期待できる。特にVT・VF患者は蘇生後に心臓カテーテル検査・治療を経由する症例が多く、鎮静介入が後回しになりがちであるが、初療室等でなるべく早期に投与開始し二次性脳障害の進行を抑制することが重要と考える。