[O47-7] 骨髓投与法による致死性出血性ショック(85%出血後蘇生)における人工赤血球の蘇生効果に関する検討
出血性ショックでリポソーム封入酸素運搬体(Liposome-encapsulated hemoglobin[HbV])は保存血輸血と同等の蘇生効果があると示されている。しかし、85%血液をHbVに置換した際の蘇生効果や心筋保護効果の詳細不明である。85%出血における生存率と抗不整脈効果を実験的に検討した。方法:SDラット(n=30)のfemoral artery, 骨髓から脱血・蘇生液投与を同時に施行し骨髓輸血85%出血性ショックモデルを作成した。蘇生液5%albumin(ALB群)、洗浄赤血球(wRBC群)及びHbV(HbV群)のラット(各群n=5)で24時間後の生存率を検討し、ラット(各群n=5)で蘇生後、ランゲンドルフ灌流心と光工学的手法(OMP)にて、活動電位の伝搬速度・伝搬様式、及び再分極過程の均一性を示す指標(action potential duration dispersion[APDd])を測定した。電気生理刺激にて致死性心室性不整脈(VT/VF)誘発の有無とOMP指標を検討した。結果:ALB群では24時間後生存しているラットはいなかった。wRBC群・HbV群では80%以上で生存した。ALB群でwRBC群・HbV群に比べ伝導速度の遅延と伝導様式の異常が認められる傾向が認められた。ALB群で全例VT/VFが誘発されたのに対し、wRBC群・HbV群では誘発されなかった。APDdは、ALB群で他の2群に比し延長していた(28±9 vs. 12±2, 14±2 ms; P<0.05)。結語:致死性出血性ショックラットモデルにて、HbVは、APDd の延長抑制効果を介して、wRBCと同等の予後改善効果と抗不整脈効果が認められる可能性があると示唆された。