[O48-3] ECPRを導入した偶発性低体温症における神経学的予後予測因子の検討
【はじめに】偶発性低体温による心肺停止 (CPA) 患者に対して体外循環式心肺蘇生 (ECPR) が有効とされているが、ECPRを導入した患者の神経学的転帰に関する研究は少ない。【目的】ECPRを導入した偶発性低体温によるCPA患者において、神経学的転帰に関連する因子を検討する。【方法】2005年1月~2018年7月に当院へ搬送された、ECPRを導入した偶発性低体温によるCPA患者を、神経学的予後良好(G群)と不良群(P群)の2群に分け、年齢、性別、来院時心電図波形、体温、CPR時間、低体温の原因、窒息の有無、血液ガス所見について比較・検討した。【結果】対象症例は26例(年齢中央値58歳、男性80%)で、G群9例、P群17例であった。P群とG群を比較して、G群に窒息症例は無く(0例vs 8例 ; p=0.02)、雪による冷却が多く(5例 vs 1例 ;p<0.01)、その他項目で2群間に差はなかった。窒息症例を除外した17例(G群9例、P群9例)でも同様に、雪による冷却症例はP群に無く(5例 vs 0例 ;p=0.02)、その他項目では差は見られなかった。【考察】先行研究では、窒息の有無が神経学的予後に寄与することが示されており、本研究でも同様の結果となった。窒息症例を除外した場合では雪による冷却症例で神経学的予後不良はなく、心電図波形や体温、血液ガス所見に差は見られなかったため、窒息が明らかでない症例で、雪による冷却の場合には、他の因子に関わらず、ECPR導入を考慮すべきかもしれない。【結語】偶発性低体温によるCPAでは、窒息が明らかな場合はECPR導入を慎重に考えたほうが良い。逆に、窒息が明らかでなく、雪による冷却の場合は積極的にECPR導入を考慮すべきである。