第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

内分泌・代謝 研究

[O5] 一般演題・口演5
内分泌・代謝 研究

Fri. Mar 1, 2019 4:55 PM - 5:55 PM 第6会場 (国立京都国際会館1F スワン)

座長:嶋岡 英輝(兵庫県立尼崎医療センター 集中治療センター)

[O5-7] 重症低ナトリウム血症に予防的デスモプレシン投与を行った42例の解析

神宮司 成弘, 植西 憲達, 日比野 将也, 篠原 潤, 藤井 健一郎, 新垣 大智, 大漉 祐己, 池田 貴夫, 寺澤 晃彦, 岩田 充永 (藤田保健衛生大学病院 救急総合内科学)

【目的】重症低ナトリウム血症のため当院救命ICUに入室し予防的にデスモプレシンを投与した42例の24時間後・48時間後のナトリウム補正速度、3%NaCl使用量、浸透圧性脱髄症候群(ODS)発症率について検証し、重症低ナトリウム血症の過剰補正の予防および治療におけるデスモプレシンの有効性および安全性を検討することが目的である。【方法】(1) 対象平成25年4月1日から平成29年12月31日までにおいて当院救命ICUに入室した重症低ナトリウム血症で予防的にデスモプレシンを投与した42例(2) 選択基準患者は、以下の基準の全てに適合しなくてはならない。1. 当院の救命ICUに入室した患者。2. 低ナトリウム血症で痙攣、意識障害、嘔吐のいずれかを伴う患者。3.ICU入室時よりデスモプレシンを開始。(3) 除外基準以下の条件に1つでも該当する患者は除外する。1. 当院の救命ICUに入室していない患者。2. 18歳未満の患者。3. 半年以内に脳神経外科手術を受けている患者。4. 半年以内に外傷性脳損傷の受傷歴がある患者5. ICU入室前からデスモプレシンを使用している患者(4) 観察・検査項目(ア) 病歴1. 主症状2. 痙攣、嘔吐、意識障害の有無3. 心不全の有無(イ) 身体所見1. バイタルサイン2. 意識レベル(ウ) 検査所見1. 受診時血清ナトリウム濃度2. 受診24時間後血清ナトリウム濃度3. 受診48時間後血清ナトリウム濃度4. 尿量(エ) 診断基準 (オ) 合併症1. ODSを示唆する神経症状の有無2. MRIで確認されたODS所見の有無3. 急性心不全の発症率(ク) 治療1. 受診48時間までの3%NaCl使用量2. 受診48時間までのデスモプレシン使用量(ケ) 院内死亡の有無【結果】42症例中、男性18例で平均年齢65.5歳(中央値)であった。24時間Na上昇値6.57(SD2.38)mEq/L、48時間Na上昇値12.71(SD3.53)mEq/L、48時間3%NaCl使用量617(SD470)ml、48時間デスモプレシン投与量49.2(SD16.6)mcg、ナトリウム補正成功率92.8%、ODS1例(痙攣のみ)、死亡例なしであった。【結語】重症低ナトリウム血症の治療において、デスモプレシン予防投与はナトリウム過剰補正を抑制し安全性も問題ないことが示唆された。