第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

蘇生 研究

[O50] 一般演題・口演50
蘇生 研究03

Fri. Mar 1, 2019 5:00 PM - 5:50 PM 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:西山 慶(京都医療センター)

[O50-2] 院外心停止を来たした冠動脈疾患患者の院内死亡率と神経学的予後の予測因子の検討

松田 隼治 (さいたま赤十字病院)

背景; 院外心停止後に自己心拍が再開しても院内予後は不良であり、心停止の原因としては冠動脈疾患の頻度が高い。これまでの報告では冠動脈造影(CAG)による冠動脈の評価が院外心停止患者の予後を予測する。しかし冠動脈疾患の解剖学的な評価まで行った報告はなかった。
目的; 冠動脈疾患の解剖学的な複雑さが、蘇生された院外心停止患者の30日後の院内死亡率・神経学的予後を予測するか検討する。
方法: 2015年1月から2018年7月に当院救命センターに搬送された1218名の院外心停止患者の中から自己心拍再開しCAGを施行した147名を対象とした。30日後の院内死亡率、神経学的予後を予測するため、患者の基本的な特性、病院前情報、CAG所見を検討した。
結果:初期波形がVf (P=0.002, P=0.004)、病院前自己心拍再開が得られた(P<0.001, P<0.001)、冠動脈狭窄を認めなかった(P=0.018, P=0.001)の項目が、30日後の院内死亡率、神経学的な予後に関して有意な差を認めた。さらにCAGで冠動脈に何らかの狭窄病変のあった93名で検討を行った。初期波形がVf ( P=0.035)、病院前自己心拍再開が得られた(P=0.033)、冠動脈疾患の既往歴がない(P=0.003)、入院時の低いSOFA score (P<0.001)、Syntax score (P=0.003)の項目が院内死亡率と関連し、多変量解析では入院時のSOFA score(OR 0.75; 95% CI 0.61-0.86; P<0.001)とSyntax score(OR 0.93; 95% CI 0.87-0.99; P<0.001)は30日後の生存を独立して予測した。また一方で良好な神経学的な予後(CPC=1 or 2)は、病院前自己心拍再開が得られた(P<0.001)、bystander CPRがあった(P=0.001)、入院時の低いSOFA score (P<0.001)の項目で有意な差があり、病院前自己心拍再開(OR 7.24; 95% CI 2.6-20.2; P<0.001)とbystander CPR (OR 5.53; 95% CI1.89-16.2; P<0.001)は良好な神経学的な予後を独立して予測した。
結論: 冠動脈狭窄は院内死亡率、神経学的予後不良と関連した。冠動脈狭窄を有する患者では冠動脈疾患の解剖学的複雑性、入院時の全身状態が院内死亡率を予測し、病院前情報が神経学的予後を予測した。