[O50-4] 院外心停止患者における凝固線溶マーカーと脳死の関係
【背景】院外心停止から蘇生された患者の一部は脳死に至る。心停止蘇生後の患者において凝固線溶マーカーとDICスコアは神経予後に関係することが報告されているが、これらと脳死発症との関係は明らかではない。【方法】2006年から2012年の間に当院に救急搬送され、自己心拍が再開して入院となった患者を対象に後ろ向きに解析した。入院時の凝固線溶マーカー(血小板/プロトロンビン時間/フィブリノゲン/FDP)と急性期DICスコアと入院中の脳死発症との関係をロジスティック回帰分析で検討した。各因子の最適なカットオフ値はCART分析を用いて設定した。【結果】対象患者315人中41人がDICを発症し(急性期DICスコア≧5点)、30人が脳死を発症した。非脳死患者に比べて脳死患者は入院時のフィブリノゲン値が低かったが(1.97 vs. 2.45 g/L、p=0.005)、他の因子では有意差は認められなかった。CART分析では脳死発症を予測する最適なフィブリノゲンのカットオフ値は2.26 g/Lだった。多変量ロジスティック回帰分析ではフィブリノゲン値≦2.26 g/Lは脳死発症と有意に関係していた(調整オッズ比2.87、95%信頼区間1.16-7.08、p=0.02)。【結論】院外心停止蘇生後患者において入院時のフィブリノゲン低値は脳死発症を予測した。