第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

新生児・小児 症例

[O53] 一般演題・口演53
新生児・小児 症例01

Fri. Mar 1, 2019 9:40 AM - 10:30 AM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:植田 育也(埼玉県立小児医療センター)

[O53-4] ウイルス性気管支肺炎によりair leak syndromeを呈し2度のVenovenous ECMOを要した小児の一例

西川 真理恵, 高島 拓也, 鈴木 康大, 上野 義豊, 中西 信人, 田根 なつ紀, 奥田 菜緒, 中瀧 恵実子, 板垣 大雅, 大藤 純 (徳島大学病院 救急集中治療部)

【はじめに】 小児に対するVenovenous(VV) ECMOの適応は詳細には定まっておらず、ケースバイケースの判断が必要である。今回ウイルス性気管支肺炎を契機とし重症呼吸不全、air leak syndromeを呈し、2度のECMO導入により救命し得た小児の一例を報告する。【症例】 超低出生体重児、慢性肺疾患(生後2ヶ月酸素投与)の既往のある児。2歳時、RSウイルス気管支肺炎のため入院。入院後も低酸素、喘鳴が遷延し入院7日目に広範な縦隔気腫、皮下気腫等のair leakが出現。当院ICUに転院、人工呼吸を開始するも低酸素、air leakの改善を得られずVV ECMO導入となった。これにより呼吸不全、air leakは改善し7日でECMO離脱。翌日に抜管となった。3歳5か月時、ウイルス性気管支肺炎に罹患し入院。低酸素、喘鳴のため3日目に当院転院。転院2日目に低酸素のためICU入室し気管挿管。胸部CTではわずかな縦隔気腫を認め、また低酸素血症が増悪し入室4日目にVV ECMO導入。これにより呼吸不全は改善。Air leakの悪化は見られなかった。7日でECMOを離脱し抜管した。【考察】 air leakの再発は稀とされているが、本症例では低出生体重児、慢性肺疾患の既往などair leakのリスクがあり感染、呼気障害に伴い再燃したと考えられる。Air leakは一般的には保存的治療で軽快することが多いが、本症例では努力呼吸の抑制がair leakの進行防止に有用であった。Air leak syndromeを発症し重症呼吸不全により呼吸努力の抑制が困難な症例においてはVV ECMOの早期導入が肺障害およびair leakの進行抑制に繋がり、結果として早期回復につながる症例が存在する。 また小児にECMOを実施できる施設は限られておりリスクのある児では早期の転院を考慮する必要がある。本症例では2歳時の経験を踏まえ、3歳時にはair leakを意識して早期に転院の判断を行えたこともair leakの悪化防止に寄与したと考える。【結語】 ウイルス性気管支肺炎からair leakを生じ、VV ECMOを2回導入した小児例を経験した。Air leak syndromeを伴う低酸素血症はVV ECMO導入の良い適応である。