[O53-6] カフ付き気管チューブの短期間挿管後に肉芽形成による声門下狭窄をきたした学童の一例
【背景】近年、小児用カフ付き気管チューブの性能向上に伴い、小児領域でもカフ付き気管チューブが使用されるようになってきた。一方で、小児の気管挿管後の声門下狭窄の発生頻度は5%前後であり、その原因として太すぎるューブの使用、不適切なカフ管理、長期挿管などがある。今回8日間の比較的短期間の挿管にもかかわらず、声門下肉芽を形成し気道狭窄をきたした学童の症例を経験したので報告する。【臨床経過】7歳女児、X年7月、17時頃、母親が運転するワンボックス乗用車の、後部座席にシートベルトなしの状態で乗車していた際、正面衝突事故でフロントガラスを突き破り車外に放出され受傷した。救急隊接触時、意識レベルJCSIII-300、血圧は触診で収縮期 60mm Hg、HR 175 回/分、呼吸数 18回/分、SpO2 97%であった。ドクターヘリが要請され、医師到着後直ちに、Portex6.0mmカフ付き気管チューブが挿管され当院へ搬送となった。
来院時、鎮静薬非投与下で意識レベルはGCS E1VTM3、脈拍数 154 回/分、血圧 83/46 mmHg、呼吸数 15回/分、SpO2 100%、瞳孔 右3.0mm、左3.0mm、対光反射正常、鼻出血および左耳孔から出血をみとめた。左側胸部、左大腿基部に打撲痕をみとめた。精査の結果、外傷性くも膜下出血、右側頭骨骨折、頭蓋底骨折、右急性硬膜下血腫、気脳症、左気胸、II型脾損傷、左腎損傷と診断し、いずれの損傷についても保存的加療の方針となり、集中治療室に入院となった。髄液漏をみとめたため、一週間は臥床、安静目的で人工呼吸管理を行った。第8病日に抜管したが、抜管後、軽度の吸気性喘鳴をみとめたためエピネフリン吸入療法を開始した。抜管後24時間までに上気道狭窄症状が悪化したため、喉頭内視鏡検査を施行したところ、左声門直下に肉芽形成をみとめたため、5.5mmカフなしチューブで再挿管を行った。第9病日からステロイドの全身投与を開始し、再挿管から3日後に再度内視鏡で観察したところ、肉芽は消退していたため第12病日に抜管した。抜管直後から24時間程度は軽度の吸気性喘鳴をみとめたが、その後症状は消退し問題なく経過した。【結論】近年、小児領域でもカフ付きチューブの使用が推奨されているが、カフ圧の連続的モニタリング、気管チューブ先端位置の調整など慎重な管理が必要である。
来院時、鎮静薬非投与下で意識レベルはGCS E1VTM3、脈拍数 154 回/分、血圧 83/46 mmHg、呼吸数 15回/分、SpO2 100%、瞳孔 右3.0mm、左3.0mm、対光反射正常、鼻出血および左耳孔から出血をみとめた。左側胸部、左大腿基部に打撲痕をみとめた。精査の結果、外傷性くも膜下出血、右側頭骨骨折、頭蓋底骨折、右急性硬膜下血腫、気脳症、左気胸、II型脾損傷、左腎損傷と診断し、いずれの損傷についても保存的加療の方針となり、集中治療室に入院となった。髄液漏をみとめたため、一週間は臥床、安静目的で人工呼吸管理を行った。第8病日に抜管したが、抜管後、軽度の吸気性喘鳴をみとめたためエピネフリン吸入療法を開始した。抜管後24時間までに上気道狭窄症状が悪化したため、喉頭内視鏡検査を施行したところ、左声門直下に肉芽形成をみとめたため、5.5mmカフなしチューブで再挿管を行った。第9病日からステロイドの全身投与を開始し、再挿管から3日後に再度内視鏡で観察したところ、肉芽は消退していたため第12病日に抜管した。抜管直後から24時間程度は軽度の吸気性喘鳴をみとめたが、その後症状は消退し問題なく経過した。【結論】近年、小児領域でもカフ付きチューブの使用が推奨されているが、カフ圧の連続的モニタリング、気管チューブ先端位置の調整など慎重な管理が必要である。