第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

新生児・小児 研究

[O54] 一般演題・口演54
新生児・小児 研究02

Fri. Mar 1, 2019 10:30 AM - 11:10 AM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:籏智 武志(大阪母子医療センター集中治療科)

[O54-1] 当院ICUにおける小児DIC診療の現状報告とリスク因子の検討

児玉 芳史, 矢野 武志, 長嶺 佳弘, 内村 修二, 長浜 真澄, 與那覇 哲, 谷口 正彦, 恒吉 勇男 (宮崎大学 医学部 附属病院 集中治療部)

【背景】DIC治療の重要性が認識されつつあるが、小児に関する情報は少ない。小児患者においてもDIC合併はリスク因子と考えられるが、詳細は不明である。【目的】当院ICUにおける小児DIC診療を後ろ向きに調査し、予後に関連する因子を評価した。【方法】2009年1月から2016年12月までに当院ICUに入室し、小児科およびICU医師によってDICと判断されて治療を受けた16歳以下の患者を、後ろ向き調査の対象とした。診療録から、患者背景や検査結果、および治療内容の詳細情報を抽出し、旧厚生省DIC診断基準を用いた採点(DICスコア)を行った。また、60日死亡率を求め、死亡群と生存群による群間比較を行い、予後に関連する因子について検討した。【結果】調査期間中にICUでの治療を必要とした小児DIC患者は43名であった。平均年齢は5.8歳、男女比28:15、平均ICU日数20日、平均pediatric index of mortality 2は38.9 %であった。比較的若年者が多く、3歳以下が48 %を占めた。40名が呼吸不全や意識障害のためにICUへ緊急入室し、原疾患は感染症(35 %)、腫瘍(19 %)、外傷(18 %)などであった。診断条件を満たすDICスコア7点以上の患者割合は、50~60 %程度であった。治療として人工呼吸(88 %)、持続式血液透析濾過(23 %)、体外式膜型人工肺(9 %)などが用いられた。DICに対しては、アンチトロンビン製剤(74 %)、トロンボモジュリン(47 %)などが投与された。60日死亡率は33 %であった。死亡群と生存群の比較では、患者背景に差は無かったが、死亡群において出血症状を多く認めた(死亡群57 %、生存群24 %、P = 0.045)。DICスコアは、ICU入室から7日目までいずれも死亡群の方が有意に高かった(P<0.05)。平均血中アンチトロンビンIIIは、死亡群において有意に低値であった(死亡群67 %、生存群86 %、P = 0.009)。DIC治療薬の使用に群間差は認めなかった。【結論】出血症状やDICスコア高値、あるいは血中アンチトロンビンIIIの低値が、小児DIC患者の予後に関連する可能性が示唆された。