[O54-2] 当院における過去5年間のExtracorporeal membrane oxygenation施行症例の後向視的検討
【背景】Extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)は小児において呼吸、循環補助の目的で使用され、近年その適応が拡大している。しかし、経過や予後についてのまとまった報告は少ない。【目的】ECMO施行例の転帰および予後関連因子について検討すること。【方法】当院で2013年1月1日から2017年12月31日までにECMO施行した54症例を診療録から後方視的に検討した。ECMO装着28日目の転帰をエンドポイントとした。予後関連因子についてFisher検定、Mann-Whitney U検定、および多変量解析を用いて検討した。【結果】54例中、先天性心疾患の周術期管理目的が28例(術中からの装着が11例、術後準緊急で装着が9例、術後管理中に心肺蘇生施行後装着が8例)、心臓外科術後以外の装着が11例、院内急変または来院時心肺停止で体外循環式心肺蘇生としての装着が15例であった。月齢は0か月から174か月(中央値3か月)、男児35例であった。呼吸補助のみを目的とした症例はなかった。全体の28日生存率は63%、60日生存率は55.6%であった。Lac値においては、生存群と死亡群でECMO装着直後及び1時間後で有意差を認めなかったが、3時間後~5日目は生存群で有意に低かった。装着2日目、3日目のLac値、装着3時間でのLacの変化値(ΔLac)、装着24時間、48時間でのpercent fluid overload(%FO)、体外循環時間、心肺蘇生施行時間、pSOFAスコア、装着1日目の血清Cre値、単心室を用いて多変量解析を行った結果、ECMO装着3日目のLac値で有意差を認めた(オッズ比 1.8、95%信頼区間 1.05-3.6, P値 0.00886)。ROC曲線よりカットオフ値は5.2 mmol/Lであった(Area Under thr Curve 0.816、95%信頼区間 0.679-0.953)。【結論】ECMO装着3日目のLac値が28日目の転帰において独立した予後関連因子である。