第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

血液浄化 症例

[O57] 一般演題・口演57
血液浄化 症例01

2019年3月1日(金) 14:40 〜 15:40 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:片山 浩(川崎医科大学 麻酔・集中治療医学3/川崎医科大学総合医療センター 麻酔・集中治療科)

[O57-6] ミオグロビン除去を目的とした血液浄化療法モダリティの評価

原 嘉孝1, 幸村 英文1, 樋上 拓哉1, 鷲見 弘文1, 勝田 賢1, 秋山 正慶1, 早川 聖子1, 内山 壮太1, 森山 和広2, 西田 修1 (1.藤田医科大学医学部 麻酔・侵襲制御医学講座, 2.藤田医科大学医学部 臨床免疫制御医学講座)

高ミオグロビン(Mgb、分子量17.8kDa)血症は、急性腎障害(Acute kidney injury: AKI)の病因因子であるが、その分子量から透析や濾過の原理では高いクリアランスは期待できない。過去に持続血液透析のMgbクリアランスは約5ml/minであることが本邦から報告されている。これまで吸着膜であるPMMA(東レ・メディカル株式会社、BG2.1PQ)を用いた間歇的高効率血液浄化療法(SHEDD-fA)および、同じく吸着素材のAN69ST(バクスター株式会社、SepXiris)を用いた持続血液濾過法(AN-CHF)のMgbクリアランスを示す報告は少ない。今回、異なる2種の吸着特性のある血液浄化器を用いたSHEDD-fAおよびAN-CHFのMgbのクリアランスを3例で比較検討した。
結果を図で示す。3例中2例で、SHEDD-fAおよびAN-CHFを施行していた。Mgbの分子量から、理論的には透析の原理で除去することは極めて困難である。ある物質の篩係数を1とした場合、濾過の原理によるクリアランスの理論的限界値は、それぞれ20.8、16.7 ml/minである。各血液浄化器のMgb篩係数から、SHEDD-fAおよびAN-CHFの濾過の原理によるMgbクリアランスは、理論的限界値より低下することが想定される。
SHEDD-fAにおけるMgbクリアランスは、理論的限界値より遙かに高値を示した。Mgb除去には、吸着の原理が関与していることを示唆している。一方で、AN-CHFのMgbクリアランスは、SHEDD-fAと比較して、非常に低値を示した。
ミオグロビン除去を目的とする場合、PMMAを用いたSHEDD-fAの施行を考慮すべきである。
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