[O58-3] 急性水頭症を合併したStreptococcus anginosusによる細菌性髄膜炎の1例
【背景】
急性水頭症が髄膜炎に合併するのは3%程度と稀である。しかし、合併した場合の死亡率は50~60%と高い。急性水頭症合併髄膜炎例の起因菌は、大腸菌、肺炎球菌が報告されているが、今回Streptococcus anginosusに起因する症例を経験したので報告する。
【臨床経過】
症例は76歳男性。自宅で倒れていたため救急要請され、当院に搬送された。
来院時、意識レベルはGCS:E1V1M4で、瞳孔不同と右共同偏視を認めたため挿管した。血液検査では白血球数:26,700 /μL、CRP:38.6 mg/dLと炎症反応の上昇がみられた。髄液検査所見は、外観:白濁、初圧:30 mmH2O、細胞数:3,616 /mm3、タンパク:300 mg/dLであった。細菌性髄膜炎、敗血症と診断し抗菌薬投与を開始した。頭部CT検査で側脳室下角の拡大がみられ、細菌性髄膜炎による非閉塞性水頭症と考えられた。また、右側頭下窩に膿瘍がみられ細菌性髄膜炎との関連が疑われたため救命救急センターに入院した。
入院後、髄液培養結果がStreptococcus anginosusと判明した。第6病日、右側頭下窩の膿瘍に対して穿刺排膿を行った。フォローアップCTでは側脳室拡大が軽度進行していたため、再度、腰椎穿刺を施行したところ、初圧は40mmH2Oと高かった。髄液を排出したが意識障害は改善しなかった。髄液細胞数は減少し、炎症所見は改善したため髄液の持続ドレナージは不要と判断した。第10病日に血圧が低下し、対光反射が消失したため頭部CT検査を施行したところ、水頭症がさらに増悪していたため緊急で穿頭脳室ドレナージ術を施行した。側脳室の圧は60mmH2Oと著しく上昇していた。ドレナージ後も神経所見は改善せず、脳幹反射は消失した。第12病日の頭部CT検査で側脳室腔は狭小化、皮髄境界は不鮮明化し、第13病日に死亡した。
【結論】
細菌性髄膜炎に急性水頭症を合併する例は稀である。入院時の意識障害および平均年齢の高さは細菌性髄膜炎に急性水頭症を発症するリスクファクターであり、急性水頭症を発症した際に敗血症性ショックである場合には予後不良である。適切な抗菌薬治療を継続しているにも関わらず急性水頭症が増悪する場合には外科的介入を考慮すべきである。
急性水頭症が髄膜炎に合併するのは3%程度と稀である。しかし、合併した場合の死亡率は50~60%と高い。急性水頭症合併髄膜炎例の起因菌は、大腸菌、肺炎球菌が報告されているが、今回Streptococcus anginosusに起因する症例を経験したので報告する。
【臨床経過】
症例は76歳男性。自宅で倒れていたため救急要請され、当院に搬送された。
来院時、意識レベルはGCS:E1V1M4で、瞳孔不同と右共同偏視を認めたため挿管した。血液検査では白血球数:26,700 /μL、CRP:38.6 mg/dLと炎症反応の上昇がみられた。髄液検査所見は、外観:白濁、初圧:30 mmH2O、細胞数:3,616 /mm3、タンパク:300 mg/dLであった。細菌性髄膜炎、敗血症と診断し抗菌薬投与を開始した。頭部CT検査で側脳室下角の拡大がみられ、細菌性髄膜炎による非閉塞性水頭症と考えられた。また、右側頭下窩に膿瘍がみられ細菌性髄膜炎との関連が疑われたため救命救急センターに入院した。
入院後、髄液培養結果がStreptococcus anginosusと判明した。第6病日、右側頭下窩の膿瘍に対して穿刺排膿を行った。フォローアップCTでは側脳室拡大が軽度進行していたため、再度、腰椎穿刺を施行したところ、初圧は40mmH2Oと高かった。髄液を排出したが意識障害は改善しなかった。髄液細胞数は減少し、炎症所見は改善したため髄液の持続ドレナージは不要と判断した。第10病日に血圧が低下し、対光反射が消失したため頭部CT検査を施行したところ、水頭症がさらに増悪していたため緊急で穿頭脳室ドレナージ術を施行した。側脳室の圧は60mmH2Oと著しく上昇していた。ドレナージ後も神経所見は改善せず、脳幹反射は消失した。第12病日の頭部CT検査で側脳室腔は狭小化、皮髄境界は不鮮明化し、第13病日に死亡した。
【結論】
細菌性髄膜炎に急性水頭症を合併する例は稀である。入院時の意識障害および平均年齢の高さは細菌性髄膜炎に急性水頭症を発症するリスクファクターであり、急性水頭症を発症した際に敗血症性ショックである場合には予後不良である。適切な抗菌薬治療を継続しているにも関わらず急性水頭症が増悪する場合には外科的介入を考慮すべきである。