[O60-3] 小児心臓手術後の集中治療管理における予測死亡率 Paediatric Index of Mortality 3 スコアリング
【背景】 先天性心疾患に対する心臓手術の治療成績を検討する際にリスク調整を行ったうえで解析することが望ましく、本邦や欧米では予後予測指標として術式別に分類したRisk Adjustment in Congenital Heart Surgery System (RACHS)-1を採用している。一方、小児集中治療領域では、患者の重症度評価や集中治療の質のモニタリングとしてPaediatric Index of Mortality (PIM)を採用している施設が多い。【目的】 小児心臓手術患者の術後CICU入室時PIM3を算出し、手術や術後経過との関連を検討すること。【方法】 2015年7月から2018年6月までに当院CICUに入室した941人中、先天性心疾患に対する心臓手術の術後管理目的で入室となった611例を対象とし、CICU入室時データからPIM3を算出した。入室時月齢(中央値)7.4ヵ月、開心術 515例、非開心術96例。予定手術 552例、(準)緊急手術 59例。手術時間(中央値)253分、人工心肺時間(中央値)135分。【結果】 全対象症例のPIM3は1.7±2.3%であり、実死亡率は0.65% (4/611)であった。術後24時間内のInotropic score 5.6±3.2、挿管日数(中央値) 2日、CICU在室日数(中央値) 5日。RASCH-1のrisk category 1: 70例 (11.5%)、2: 220例 (36.2%)、3: 249例 (41.0%)、4: 48例 (7.9%)、5: 1例 (0.1%)、6: 23例 (3.8%) であった。Inotropic score、挿管日数、CICU在室日数、RASCH-1のいずれもPIM3と弱い正の相関を示した。PIM3に関して、開心術 vs 非開心術は 1.4±2.1% vs 2.8±2.5%、予定手術vs (準) 緊急手術は 1.3±1.8% vs 4.7±3.5%で、非開心術および(準) 緊急手術においてPIM3は有意に高かった。PIM3>10は11例で、いずれも左心低形成症候群症例 and/or (準) 緊急手術症例であった。ECMO症例18例のPIM3は5.0±7.9%で、うちECMO離脱困難で死亡した4例のPIM3は8.8~39.2%と高値であった。【結論】 小児心臓手術の術後CICU入室時データから算出したPIM3は、実死亡率との比較により術後集中治療管理の質のモニタリングとして活用できるとともに、患者の術後重症度と予後の評価に有用である可能性が示唆された。