[O62-3] NPPV施行中のEtCO2測定方法の検討
【目的】近年、非侵襲的陽圧換気療法(以下NPPV)は、慢性期だけでなく急性期での導入も増加している。また人工呼吸器においても、1台で侵襲的陽圧換気(IPPV)からNPPVまで行える機器が多く、当院でも抜管後NPPVを施行する症例が少なくない。NPPV施行中の換気の指標として終末呼気炭酸ガス濃度(以下PETCO2)を測定するケースがある。しかしNPPVでは少なからずリークが発生するため、測定方法が統一されていないのが現状である。今回NPPVを施行した患者においてPETCO2の測定方法を検討した。【方法】当院で採用されている3種の測定デバイス(口鼻用スマートカプノライン・鼻用カプノライン・挿管用フィルターライン Medtronic社製)のうち、どのデバイスが適しているか健常成人ボランティア4名にNPPV用マスクと同時に測定デバイスを装着し、呼吸数・PETCO2・IPI(Integrated Pulmonary Index)を測定。非NPPV時に鼻用カプノラインで測定したPETCO2値を基準値として比較を行った。人工呼吸器はPB980(Medtronic社製)、カプノモニタはカプノストリーム20P(Medtronic社製)を使用した。さらにそこで選定したデバイス(口鼻用スマートカプノライン)を用いICUにてNPPVを施行した患者5名においてPETCO2を測定し、PaCO2との比較を行った。ICUでのPETCO2は、マイクロストリーム(PHILIPS社製)で測定した。統計学的検討はt検定を用い、p<0.05を有意差ありとした。【結果】デバイスの選定において、鼻用カプノラインは口呼吸と鼻呼吸では有意に口呼吸で低値(p<0.05)となり、挿管用フィルターラインでは基準値に比べ有意差はなかったが低値(p=0.11)であった。口鼻用スマートカプノラインでは、基準値と差はなかった(p=0.91)。患者装着時では、PETCO2とPaCO2で有意差があり(p=0.03)通常観察されるP(a-Et)CO2(2~5mmHg)より大きかったが、カプノグラフィは規則的かつ安定な波形であった。また、カプノライン装着によるリーク率に差はなかった。【結論】P(a-Et)CO2の開大には、肺内シャントや死腔換気が影響するが、それに加えNPPVのマスク内では、定常流が流れていることやマスクリークによる補正が入るため、PETCO2はPaCO2より低値となったと考えられる。また挿管用フィルターラインでは、それに加え患者呼気の呼出部からサンプリング部までの距離があるため、死腔量の増加も要因として考えられた。測定値に差はあったが、カプノグラフィは安定していたことから、絶対値ではなく、変化量として用いることで患者の換気状態を把握する指標として用いることができる。