第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

検査法・モニタリング

[O62] 一般演題・口演62
検査法・モニタリング02

2019年3月1日(金) 15:40 〜 16:30 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:野﨑 歩(社会福祉法人京都社会事業財団京都桂病院薬剤科)

[O62-6] キセノン紫外線消毒ロボットLightStrikeTMが医療機器等へ与える影響および対策

斎藤 大樹1, 吉岡 淳1, 石山 智之1, 田中 隆昭1, 佐藤 将志1, 森兼 啓太2, 中根 正樹3, 土谷 順彦4, 川前 金幸5 (1.山形大学 医学部 附属病院 臨床工学部, 2.山形大学医学部附属病院 感染制御部・検査部, 3.山形大学医学部附属病院 高度集中治療センター, 4.山形大学医学部 腎泌尿器外科学講座, 5.山形大学医学部 麻酔科学講座)

【背景】キセノンによる発光を利用して紫外線を病室、手術室、器材庫などの環境表面にパルス照射するキセノン紫外線消毒ロボットLightStrikeTM(XENEX)がある。当院では日本で初めてLightStrikeTMを導入し、集中治療室内で稼働させた。しかし、LightStrikeTM稼働中にパルスオキシメーターの数値がゼロになるトラブルを経験し、光などの電磁波を利用してデータ測定を行う医療機器に何かしらの影響を与えることが推察された。【目的】LightStrikeTMによるパルス照射が集中治療室で稼働している医療機器等へ与える影響および対策について検討したので報告する。【方法】集中治療室での稼働が想定される重症患者監視モニターを始めとする各種生体情報モニター、生命維持管理装置の人工呼吸器や人工心肺装置、人工透析装置を対象とした。臨床工学部内で各機器をテスター等で動作させ、LightStrikeTM照射中における機器の状態を確認した。また、誤動作を認めた医療機器に関しては対策を講じた。【結果】可視光線や紫外線、赤外線による吸光度を利用して測定する生体情報モニターMP70(PHILLIPS)のパルスオキシメーター、INVOS 5100C(COVIDIEN)、NIRO-200NX(浜松ホトニクス)、Root with O3(MASIMO)に波形の消失や異常波形を確認し、測定値は0もしくはERRORを表示した。生命維持管理装置に関しては、流量や気泡センサー等の誤動作は見られなかった。対策には、各機器のセンサー部位に黒色の遮光カバーを被せたことで機器の誤動作を防ぎ、パルス照射中も正常な値を表示させることができた。【考察】医療機器のセンサー等に使用されている可視光線、紫外線、赤外線や電波は電磁波の一種である。LightStrikeTM照射時に発生するキセノン光線が電磁波にノイズまたは干渉を引き起こし、医療機器の誤動作を誘発したものと考えられた。また、米国においてはLightStrikeTM稼働時の医療機器の誤動作は報告されていない。個室がほとんどである米国とカーテン等で仕切られたオープンスペースが多い本邦での使用環境の違いが、キセノンによる発光を広く拡散してしまったものと考えられた。【結語】LightStrikeTMのパルス照射は、電磁波を利用してデータ測定を行う医療機器に影響を与えることが示唆された。LightStrikeTM稼働時には、使用場面によっては医療機器のセンサー部位へのパルス光の曝露対策を講じる必要がある。