[O64-1] ICU生存症例において入院前要介護状態患者の退院時ADL変化と入院前ADL自立患者との比較
【目的】近年、ICUにおける早期離床の効果が報告されている。しかし、報告の殆どが若年で体格の良く、元々ADLが自立している患者であり入院前要介護状態(以下:要介護)は少ない。そこで今回ICUからリハビリテーション介入を行った要介護患者のADL変化と入院前自立患者(以下:非介護患者)の比較検討を行った。【方法】対象は2015年4月から2017年6月にかけて3日以上ICU入室となった成人患者308例とした。早期運動療法が困難であった患者、重度認知症患者、寝たきり患者、死亡患者を除いた101例のうち要介護19例、非介護82例とした。調査項目は基本情報、疾患情報、入院前CFS、重症度(APACHE2)score、併存症(Charlson comorbidity index;CCI)score、臓器不全(SOFA)score、リハ介入の有無、ICU入室期間、在院日数、入院前・退院時ADLとした。要介護状態の定義はCFSにて5点以上とし、ADLの評価は食事、移動、排泄、入浴の4項目を自立、一部介助、全介助とわけて評価した。解析は1)要介護状態の入院時ADLと退院時ADLの変化、2)非介護患者と調査項目の群間比較を行った。【結果】 解析対象は年齢78(68-84)歳、BMI 21.7(18.8 - 24.4) 、男性 51 例(63.8%)、挿管患者36例(35.6%)、疾患内訳は呼吸不全30例(29.7%)、心疾患31例(30.7%)、外科18例(17.8%)、敗血症5例(5%)、その他17例(16.8%)であった。要介護患者の退院時ADL維持可能であった症例は7(36.8%)例であった。そのうち食事は自立患者の割合が減少し(10例(53%)から4例(21%))、一部介助の割合が増え(6例(32%)から11例(58%))有意な変化がみられた。その他の項目は有意な変化は見られなかった。要介護患者は非介護患者に比べ高齢で併存疾患が多く、重症度が有意に低かった。その他の基本情報や疾患情報等に差は見られなかった。【結語】要介護患者のADLは元々、自立している患者の多い食事動作は有意に低下がみられた。その他の項目は元々自立患者が少なく有意な変化は見られなかった。また、非介護患者に比べ高齢で併存症が多いが、死亡例も多いため(要介護43例、非介護19例死亡)解析対象では重症度は低く見積もられた。