[O64-3] 【優秀演題(口演)】早期離床における週7回介入と週5回介入の比較; 多施設後方視的観察研究
【背景】近年, 重症患者のICU退室後の日常生活動作(Activity of daily living; ADL)の低下が注目されている.早期離床はADLを改善する可能性があるとされるが, そのリハビリテーション(以下, リハ)のdose(頻度, 程度)がADLにどこまで影響するかは不明のままである.【目的】早期離床を実施している施設で週5回と週7回の介入で, 頻度とアウトカムの差の有無を比較した.【方法】2017年1月1日から2018年3月31日の間に多施設で早期離床に関する観察研究を行った.その中の週7回介入を行っている施設(everyday群)と週5回介入を行っている施設(weekday群)のデータを後ろ向きに解析した.対象は成人で48時間以上の人工呼吸器装着患者であり, 全施設共通のプロトコルを用いて離床している.主要評価項目は入院期間中のADL(退院時Barthel Index; BI), 転帰(独歩退院, 車椅子退院, 転院, 死亡)とし, 副次的評価項目はリハ開始までの日数, 離床までの日数, 総リハ介入人数, ICU内での端座位以上の積極的リハの実施割合とした. 【解析】期間と各種スコアの比較はマンホイットニーのU検定を用い, 割合の比較はカイ二乗検定を用いた.【結果】everyday群は3施設, weekday群は4施設であり, それぞれの患者群の背景は差を認めなかった.全体で206例(100例対106例)が登録された.退院時BIが中央値55対57(p=0.74)で, 独歩退院できた割合は40%対35%(p=0.45)であった.リハ開始まで, 離床までの日数中央値はそれぞれ2日対3日(p<0.001), 6日対6日(p=0.49)で, 積極的リハの実施割合はLevel3, 4, 5でそれぞれ41%対26%, 11%対19%, 2%対5%であった.【考察】本研究は人工呼吸器装着患者に対する早期離床において, 週7回と週5回の介入で頻度とアウトカムの差の有無を評価したものである.週7回の介入でリハ開始までの日数は短縮されたが, ADL・転帰に有意差を認めなかった.ICU入室期間の短さから週7回介入したとしても一人頭の介入回数は差がつかない可能性と, 休日の介入が平日よりも消極的になっていた可能性が考えられる.【結語】早期離床における週7回の介入は介入までの時間を早めるが, ADL・転帰には影響を与えない可能性がある.