第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O64] 一般演題・口演64
リハビリテーション01

2019年3月1日(金) 09:15 〜 10:05 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:橋本 圭司(出雲徳洲会病院 麻酔科)

[O64-3] 【優秀演題(口演)】早期離床における週7回介入と週5回介入の比較; 多施設後方視的観察研究

森田 恭成1, 自見 孝一朗1, 荒川 立郎1, 安藤 諭2, 難波 智矢3, 村中 烈子4, 堀部 達也5, 工藤 弦5, 嶋田 正子6, 小谷 透7 (1.国立病院機構 名古屋医療センター 集中治療科, 2.国立病院機構 名古屋医療センター 総合内科, 3.八尾徳洲会総合病院 リハビリテーション科, 4.八尾徳洲会総合病院 看護部, 5.東京女子医科大学 リハビリテーション部, 6.東京女子医科大学 看護部, 7.昭和大学医学部 麻酔科学講座)

【背景】近年, 重症患者のICU退室後の日常生活動作(Activity of daily living; ADL)の低下が注目されている.早期離床はADLを改善する可能性があるとされるが, そのリハビリテーション(以下, リハ)のdose(頻度, 程度)がADLにどこまで影響するかは不明のままである.【目的】早期離床を実施している施設で週5回と週7回の介入で, 頻度とアウトカムの差の有無を比較した.【方法】2017年1月1日から2018年3月31日の間に多施設で早期離床に関する観察研究を行った.その中の週7回介入を行っている施設(everyday群)と週5回介入を行っている施設(weekday群)のデータを後ろ向きに解析した.対象は成人で48時間以上の人工呼吸器装着患者であり, 全施設共通のプロトコルを用いて離床している.主要評価項目は入院期間中のADL(退院時Barthel Index; BI), 転帰(独歩退院, 車椅子退院, 転院, 死亡)とし, 副次的評価項目はリハ開始までの日数, 離床までの日数, 総リハ介入人数, ICU内での端座位以上の積極的リハの実施割合とした. 【解析】期間と各種スコアの比較はマンホイットニーのU検定を用い, 割合の比較はカイ二乗検定を用いた.【結果】everyday群は3施設, weekday群は4施設であり, それぞれの患者群の背景は差を認めなかった.全体で206例(100例対106例)が登録された.退院時BIが中央値55対57(p=0.74)で, 独歩退院できた割合は40%対35%(p=0.45)であった.リハ開始まで, 離床までの日数中央値はそれぞれ2日対3日(p<0.001), 6日対6日(p=0.49)で, 積極的リハの実施割合はLevel3, 4, 5でそれぞれ41%対26%, 11%対19%, 2%対5%であった.【考察】本研究は人工呼吸器装着患者に対する早期離床において, 週7回と週5回の介入で頻度とアウトカムの差の有無を評価したものである.週7回の介入でリハ開始までの日数は短縮されたが, ADL・転帰に有意差を認めなかった.ICU入室期間の短さから週7回介入したとしても一人頭の介入回数は差がつかない可能性と, 休日の介入が平日よりも消極的になっていた可能性が考えられる.【結語】早期離床における週7回の介入は介入までの時間を早めるが, ADL・転帰には影響を与えない可能性がある.