[O65-1] 徐脈または頻脈性不整脈患者はデバイス植込み待機時に安静臥床すべきか?
【背景】徐脈性不整脈は失神や心不全の原因となりペースメーカ(PM)植込みを行われることが多い。また、心臓突然死の原因となる頻脈性不整脈に対しては植込み型除細動器(ICD)が有効な治療法のひとつと言われている。それらデバイス植込み前にはAdams-Stokes発作や心不全増悪が、一時的ペースメーカ(tPM)留置時にはそのデバイス合併症が懸念され安静臥床で待機することが多い。一方で安静臥床は患者に廃用性変化をもたらし患者の予後に悪影響を与える可能性がある。【目的】徐脈または頻脈性不整脈に対してデバイス植込み予定患者の待機入院期間中の安静度が不整脈、デバイス合併症を含めたイベント発症に影響したのか検討した。【方法】2014年4月から2018年7月までに徐脈性または頻脈性不整脈に対してデバイス(PM、ICD、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D))の植込み目的で緊急入院した患者137例を、待機中に安静臥床しなかった離床群(n=77) と安静臥床期間があった安静群(n=60)の2群間でイベント(心、脳血管、末梢血管イベント、デバイス合併症)発症について比較検討した。【結果】デバイス植込対象疾患(ブロック、洞不全症候群、徐脈性心房細動、心臓突然死予防)、症状(失神、心不全、無症候)、デバイスの種類(PM、ICD、CRT-D)について2群間で有意差は認めなかった。離床群は安静群と比べ若年(75.8歳 vs 79.8歳, p=0.032)、tPM留置施行例は有意に少なかった(18% vs 52%, p<0.001)。全イベントは離床群で有意に少なかった(1% vs 22%, p<0.001)。不整脈またはデバイス関連イベント(ペーシング不全、デバイス感染)についても離床群で有意に少なかった(0% vs 17%, p<0.001)。tPM留置施行45例でも離床群(n=14) は安静群(n=31)よりも全イベントは有意に少なかった(0% vs 39%, p=0.005)。心不全に対するデバイス植込み目的での59例においても離床群(n=32)は安静群(n=27)と全イベント発生で有意差はなかった(3% vs 19%, p=0.064)。【結論】デバイス植込み待機期間においてもtPM留置や心不全合併に関わらず可能な限り安静臥床は避けるべきである。