[O65-2] 当院救命救急センターICUにおける医療関連機器圧迫創傷発生に関する実態調査
【背景】クリティカルケア領域の患者は、皮膚障害発生リスクが極めて高く、いったん生じた皮膚障害は治癒しにくいため、皮膚障害発生リスクを低減させる予防的スキンケアが重要となる。当院救命救急センターICU(以下、救ICU)では、2017年度より 医療関連機器圧迫創傷(以下MDRPU)低減に向けた取り組み(皮膚ケア用品(皮膚保護剤など)のルーチン使用、フットポンプ使用時のストッキネットのルーチン使用、月ごとのMDRPU発生率の公表)を行っている。【目的】MDRPU低減に向けた取り組みを行った2017年度のMDRPU発生率及びMDRPU発生患者背景を明らかにする。【方法】研究デザイン:後方視観察研究 研究期間: 2017年4月1日~2018年3月31日 調査項目:研究期間中に救ICUに入室した患者(697例)のうち、MDRPU発生患者の背景(原疾患、年齢、性別、重症度(Apache2score、SOFA)発生部位、発生原因とMDRPUの発生率(MDRPU発生患者/当ICU入室患者)、MDRPUの重症度(NPUAP分類)などを調査した。当院IRB承認を受けた。【結果】調査期間中に発生したMDRPUの患者は、計43名でMDRPU発生率は、6.16%(43/697)であった。MDRPUを発生した患者の原疾患として、外傷が11名(25%)と最も多く、次いで心血管系疾患が6名(13.9%)で、蘇生後脳症と脳卒中が5名ずつ(11.6%)などであった。男性の割合が72%で、年齢の中央値70(四分位範囲 59-78)歳であり、重症度がSOFA score 6(3-8)点、APACHE2score 19(13-25)であった。Braden Scaleが12(11-16)点で、MDRPU発生日は、入室から5日目(3-8)に発生していた。発生したMDRPUの深達度は、NPUAPステージ1が28%、ステージ2が72%で、発生部位が、下腿16名(37%)と最も多く、次いで頸部4名(9%)、大腿4名(9.3%)などであった。発生原因として、カテーテル類15名(34.8%)と最も多く、次いでフットポンプ6名(13.9%)、オムツ6名(13.9%)、頚椎カラー4名(9.3%)などであった。【結論】2017年度、当院救命ICUで発生したMDRPUは6.16%であった。重症患者の治療やモニタリングのために多くの医療機器を扱うクリティカルケア領域では今後も戦略的観察と予防的介入を行いMDRPU発生率を低減していく必要がある。