[O65-3] 急性腎障害の有無におけるICU入室患者へのリハビリテーションの有害事象発生率の検討
【背景】急性腎障害(Acute Kidney Injury:AKI)はICU入室患者の約半数が発症し、死亡率を増加させると報告されている。また、ICUでの早期リハビリテーション(以下:リハ)は積極的に行われるようになってきたが、AKI患者に対してリハの安全性を検討した報告は少ない。
【目的】「ICU入室時のAKIの有無がリハ施行時の有害事象発生率に関連する」と仮説を立て、当院ICU入室時にAKIを合併していた患者へのリハの安全性を後方視的に検討した。
【方法】対象は2015年6月1日から2017年11月30日に内科疾患で当院ICUへ入室し、人工呼吸器を使用した、入室時AKI発症群21例、非発症群30例の合計51例。リハ中の有害事象発生率を調査し、リハの安全性を後方視的に検討した。主要評価項目はAKIの有無と有害事象発生率との関連とした。副次評価項目は有害事象発生の有無とリハSTEP、KDIGO分類、APACHEIIスコア、年齢、性別との関連とした。リハは当院で考案したプロトコルを使用した。プロトコルは6段階(STEP0他動運動、STEP1体位ドレナージ、STEP2自動運動、STEP3端座位、STEP4立位、STEP5歩行)で構成された。有害事象は心拍数、血圧、SpO2、呼吸数、覚醒・せん妄、ルートトラブルに関連する項目でプロトコルの中止基準に該当した事象とした。AKIの重症度はKDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)分類を使用し、stage0を非AKI群、stage1、2、3をAKI群に分類した。統計学的解析はt検定、χ2検定を使用し、有意水準は5%とした。
【結果】有害事象発生率は全てのリハSTEPでAKI群と非AKI群の両群に有意差を認めなかった。リハ実施内容はSTEP0(27/25)、STEP1(184/153)、STEP2(84/109)、STEP3(118/142)、STEP4(52/108)、STEP5(0/2)だった。有害事象発生の有無はAKI群のリハSTEP(p<0.001)、KDIGO分類のstage0と1(χ2(3)=38.41、p<0.001)、stage0と3(χ2(3)=13.86、p<0.001)、非AKI群の性別(χ2(1)=11.67、p<0.001)で関連を認めた。AKI群はリハSTEPを進めたときに有害事象発生が多かった。KDIGO分類は、stage0は30例、stage1は9例、stage2は4例、stage3は8例、stage1と3はstage0よりも有害事象発生が多かった。非AKI群は女性で有害事象発生が多かった。その他の項目は有害事象の有無と関連を認めなかった。
【結論】ICU入室時のAKIの有無はリハ施行時の有害事象発生率と関連を認めなかった。AKI患者のリハは非AKI患者と同様のプロトコルで実施可能だと示唆された。
【目的】「ICU入室時のAKIの有無がリハ施行時の有害事象発生率に関連する」と仮説を立て、当院ICU入室時にAKIを合併していた患者へのリハの安全性を後方視的に検討した。
【方法】対象は2015年6月1日から2017年11月30日に内科疾患で当院ICUへ入室し、人工呼吸器を使用した、入室時AKI発症群21例、非発症群30例の合計51例。リハ中の有害事象発生率を調査し、リハの安全性を後方視的に検討した。主要評価項目はAKIの有無と有害事象発生率との関連とした。副次評価項目は有害事象発生の有無とリハSTEP、KDIGO分類、APACHEIIスコア、年齢、性別との関連とした。リハは当院で考案したプロトコルを使用した。プロトコルは6段階(STEP0他動運動、STEP1体位ドレナージ、STEP2自動運動、STEP3端座位、STEP4立位、STEP5歩行)で構成された。有害事象は心拍数、血圧、SpO2、呼吸数、覚醒・せん妄、ルートトラブルに関連する項目でプロトコルの中止基準に該当した事象とした。AKIの重症度はKDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)分類を使用し、stage0を非AKI群、stage1、2、3をAKI群に分類した。統計学的解析はt検定、χ2検定を使用し、有意水準は5%とした。
【結果】有害事象発生率は全てのリハSTEPでAKI群と非AKI群の両群に有意差を認めなかった。リハ実施内容はSTEP0(27/25)、STEP1(184/153)、STEP2(84/109)、STEP3(118/142)、STEP4(52/108)、STEP5(0/2)だった。有害事象発生の有無はAKI群のリハSTEP(p<0.001)、KDIGO分類のstage0と1(χ2(3)=38.41、p<0.001)、stage0と3(χ2(3)=13.86、p<0.001)、非AKI群の性別(χ2(1)=11.67、p<0.001)で関連を認めた。AKI群はリハSTEPを進めたときに有害事象発生が多かった。KDIGO分類は、stage0は30例、stage1は9例、stage2は4例、stage3は8例、stage1と3はstage0よりも有害事象発生が多かった。非AKI群は女性で有害事象発生が多かった。その他の項目は有害事象の有無と関連を認めなかった。
【結論】ICU入室時のAKIの有無はリハ施行時の有害事象発生率と関連を認めなかった。AKI患者のリハは非AKI患者と同様のプロトコルで実施可能だと示唆された。