[O65-7] ICUにおける離床プロトコールで克服できた早期離床の障壁と今後の課題、続報
【目的】当院では2015年から前橋早期離床プロトコール(以下プロトコール)を導入した。(1)ICU入室時の自動オーダー、(2)医師主導による離床内容の決定と時間調整、(3)医師、看護師、リハビリスタッフの3職種を基本人員として離床を実施というプロトコールを実践している。結果、離床状況の改善や病院在院日数の短縮、退院時日常生活動作が向上した。しかし、早期離床の障壁は様々あり、当プロトコールで克服できた障壁がある一方で、克服がいまだできていない障壁もあると思われる。離床の推進と提供を目的に、現状の障壁の把握のためリハビリスタッフを対象としてアンケート調査を行い、昨年の日本集中治療医学会学術集会で発表を行った。その結果、機器管理の克服や、ICU内での離床意識や協力意識の障壁が克服できたと分かった。今回は他職種の検討も必要と考えICU勤務の看護師に昨年度と同様のアンケート調査を行った。【方法】対象はプロトコール導入前より当院で働いている看護師23名。アンケート項目はRolfらの報告を元にPatient-Related Barriers、Structural Barriers、Cultural Barriers、Process-Related Barriersの4分野における早期離床の障壁27項目とし、(1)5段階評価で実施した。また、(2)全体の自由記入欄を設定した。【結果】看護師において克服の割合が高かった項目は「ICU関連の機器」「循環動態を見る医療デバイス」「重症そうで離床できない」「肥満があって離床できない」であった。一方、克服の割合が低かったのは「緩和ケア・終末期」「時間の制約」であった。自由記入欄では離床や協力意識が高くなったという意見が多い一方、業務の多忙さから取り組みがまだ不十分との意見もあった。リハビリスタッフとの結果と比較して「離床の優先順位が低い」「スタッフ不足」に対して克服の割合が低い傾向であった。【考察】プロトコールを導入することにより、看護師もリハビリスタッフと同様に医師がいることで機械管理の克服ができたと考えられる。また、リハビリスタッフがいることで介助量が多い患者の克服ができたと考えられる。一方で離床意識は高くなったが、業務の多忙さに影響を受けにくい取り組みを検討する必要があると考える。【結語】プロトコールによって早期離床の障壁が克服できたことが分かった。また、職種間の克服の違いから今後の課題も確認できた。