第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O67] 一般演題・口演67
リハビリテーション04

2019年3月1日(金) 14:00 〜 15:00 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:関野 元裕(長崎大学病院集中治療部)

[O67-6] 重症TAFRO症候群を契機に著明な筋力低下を呈した一症例に対するリハビリテーション

黒澤 響平1, 齋藤 肇1, 森野 陽2 (1.旭川市立旭川病院, 2.北海道リハビリテーション大学健康科学部リハビリテーション学科)

【背景】TAFRO症候群は、明らかな原因なしに急性あるいは亜急性の発熱、全身性浮腫、血小板減少を主症状とする全身性炎症性疾患である。一部の症例は急激に病態が悪化し集中治療を必要とすることもあるが、リハビリテーション (以下、リハビリ) に関する報告は散見する程度である。今回、最重症のTAFRO症候群を契機に著明な筋力低下が認められ、intensive care unit-acquired weakness (ICU-AW) が疑われる症例に対し、急性期から長期的にリハビリ介入を行い良好な結果を得たため報告する。【臨床経過】症例は30代、女性。原因不明の発熱、血小板減少、胸腹水貯留、全身浮腫などの症状で近医にて抗生剤治療を受けるも症状は改善せず、当院へ転院となりTAFRO症候群の診断にてステロイド治療が開始された。第9病日に病態が悪化しICU入室となり、ステロイドパルス療法、人工呼吸管理などの集中治療が行われた。その後急激に全身のびまん性筋力低下が増悪し、第27病日のICU退室時にはmedical research council sum score (MRC-SS) 2点、両側握力0kg、四肢遠位に異常感覚 (+) 、Barthel index (BI) 0点と寝たきりの状態であった。また、腹水に伴う著明な腹部膨満感の影響で離床が進まず、腹水穿刺施行後の第57病日に離床開始となった。筋力訓練は早期から他動運動を開始し、manual muscle testing (MMT) の筋力に合わせ強度を変更した。また、過用性筋力低下に留意し抵抗運動は低負荷、頻回にて実施し、離床に合わせ病棟と連携をとり日常生活活動 (activities of daily living: ADL) の向上を図った。筋力は四肢近位筋から改善を認めたが、下肢遠位筋の回復は遅延したため、両足関節短下肢装具を用いて第160病日より歩行訓練を開始した。第259病日に足関節短下肢装具着用下で杖歩行が自立し自宅退院となった。結果的にMRC-SSは44点、足関節周囲の筋力はMMT1~2と筋力低下が残存したものの、BIは90点まで改善した。【結論】集中治療後、著明に筋力低下が認められた重症TAFRO症候群患者一症例に対し長期間リハビリを行った。下肢に遠位筋優位とした筋力低下が残存したものの、装具着用下でADLは改善し自宅復帰が可能となった。