[O7-7] ICUで治療経過中に発症したダプトマイシンによる急性好酸球性肺炎の一例
【はじめに】急性好酸球性肺炎(AEP)は急性の経過で発症してARDS様の重症呼吸不全を呈する。原因として, 喫煙や抗生剤をはじめとする薬剤などが関与しているとされる。原因薬剤とされる抗生剤ではダプトマイシン(DAP)による報告が近年増加している。今回,ICUでの敗血症治療経過中に発症したDAPによるAEPを経験した。さらに,当院ICUでDAPを使用した2015年4月から2018年7月までの連続49症例を後ろ向きに検討した。
【症例】76歳男性。低位前方切除術術後縫合不全となり, 腹膜炎から敗血症にDICを併発したため緊急開腹ドレナージを施行した。抗生剤はバンコマイシン(VCM)からDAPに変更していた。抗生剤変更後5日目に低酸素となり, 再挿管・人工呼吸管理を行った(P/F比=85.6)。挿管後黄褐色痰が頻回に吸引された。人工呼吸器関連肺炎を疑いグラム染色を施行するも細菌は認めず,多核球を多数認めた。同日施行したCTで両側びまん性にスリガラス陰影が増強していた。細菌性肺炎に続発したARDSと判断しVCMに変更した。翌日施行した好酸球染色で好酸球増多が認められたため,AEPと診断, ステロイド投与を開始した。DAP中止 7日目にP/F比=518となり抜管した。胸部CT上も間質性陰影は軽快した。
【後ろ向き検討】低酸素、胸部写真での肺炎像、喀痰培養による細菌性肺炎が否定を満たすものをAEPとした。連続49例のDAP使用症例でAEPを疑われた症例は1例のみであった。
【考察】APEは稀な合併症で、感染症でない急性の発熱を伴う呼吸不全のときに疑う。AEPの診断には一般的に気管支肺胞洗浄液中の好酸球の存在によるが、本症例では喀痰好酸球染色を実施することで診断に至った。DAPによるAEPは予後良好な疾患と考えられている。本症例ではP/F比85.6と重症低酸素血症を呈し挿管人工呼吸管理となったものの、DAP中止7日目には酸素化は改善し抜菅に成功した。さらに後ろ向き検討では発症率はこれまでの報告と同様で2%であった。しかしながら発症までの期間はこれまでの報告よりもはるかに短い5日目の発症であった。
【結語】 DAP投与中の呼吸不全では, AEPも念頭におく必要があり,診断には喀痰染色が有用であった。
本発表は、平成30年7月豪雨のため取り下げた集中治療医学会九州支部会発表演題である。
【症例】76歳男性。低位前方切除術術後縫合不全となり, 腹膜炎から敗血症にDICを併発したため緊急開腹ドレナージを施行した。抗生剤はバンコマイシン(VCM)からDAPに変更していた。抗生剤変更後5日目に低酸素となり, 再挿管・人工呼吸管理を行った(P/F比=85.6)。挿管後黄褐色痰が頻回に吸引された。人工呼吸器関連肺炎を疑いグラム染色を施行するも細菌は認めず,多核球を多数認めた。同日施行したCTで両側びまん性にスリガラス陰影が増強していた。細菌性肺炎に続発したARDSと判断しVCMに変更した。翌日施行した好酸球染色で好酸球増多が認められたため,AEPと診断, ステロイド投与を開始した。DAP中止 7日目にP/F比=518となり抜管した。胸部CT上も間質性陰影は軽快した。
【後ろ向き検討】低酸素、胸部写真での肺炎像、喀痰培養による細菌性肺炎が否定を満たすものをAEPとした。連続49例のDAP使用症例でAEPを疑われた症例は1例のみであった。
【考察】APEは稀な合併症で、感染症でない急性の発熱を伴う呼吸不全のときに疑う。AEPの診断には一般的に気管支肺胞洗浄液中の好酸球の存在によるが、本症例では喀痰好酸球染色を実施することで診断に至った。DAPによるAEPは予後良好な疾患と考えられている。本症例ではP/F比85.6と重症低酸素血症を呈し挿管人工呼吸管理となったものの、DAP中止7日目には酸素化は改善し抜菅に成功した。さらに後ろ向き検討では発症率はこれまでの報告と同様で2%であった。しかしながら発症までの期間はこれまでの報告よりもはるかに短い5日目の発症であった。
【結語】 DAP投与中の呼吸不全では, AEPも念頭におく必要があり,診断には喀痰染色が有用であった。
本発表は、平成30年7月豪雨のため取り下げた集中治療医学会九州支部会発表演題である。