[O70-6] 集中治療領域における理学療法の効果の検証
【研究目的】:集中治療における理学療法(PT)の効果の検証を目的とする。特に人工呼吸器を装着した重症患者に対する、理学療法の効果・影響を明らかにする事である。【方法】:ICUの人工呼吸器患者(4日以上使用)かつ12歳以上を対象に、PT介入群と非介入群間にて、アウトカムを後方視的に比較検討した。共変量の調整は、周辺構造モデルにて、inverse probability of treaent weighting (IPTW)法を用いた。事前設定した共変量は、年齢、性別、BMI、APACHEII・平均SOFAスコア、comorbidities、透析、手術・術式、診断名であり、因子数にして計27項目である。2値アウトカムはlogistic回帰分析、連続量アウトカムは一般化推定方程式(GEE)、Time to eventアウトカムはCox回帰分析にて解析した。【結果】:全登録患者は1055例であり、PT介入群:170例、対照群:885例であった。介入群と対照群を比較すると、平均年齢は対象群がより高かったが(60 vs. 63歳)、APACHEIIは両群とも23であり、また、入室時P/F比・ICU在室中平均SOFA及びDICスコアは、介入群がより重症であった(P/F比:225.8 vs. 272.8、SOFAスコア:7.8 vs. 5.5、DICスコア:3.9 vs. 2.7)。Ventilator-associated events(VAE)発生に関するPT効果は、調整オッズ比:0.56(p=.05)であった。全死亡及び30日死亡率に対する調整オッズ比は、0.69(p=.23)と0.67(p=.13)であったが、一方、60日死亡率に関しては0.39(p=.03)であった。平均P/F比に対する効果は回帰係数推定値(β):0.30(p=.01)だった。VAEの全死亡への効果に関して二次解析を行なったところ、調整オッズ比:1.70(p=.03)であった。【結語】:ICUでのPTは、酸素化およびVAEの改善と関係した。全死亡率への影響は認められなかったが、長期予後には関係する可能性が示唆された。