第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O71] 一般演題・口演71
リハビリテーション08

2019年3月1日(金) 17:40 〜 18:40 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:水 大介(神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター)

[O71-2] 胸骨骨折患者の受傷早期での歩行獲得を考える~理学療法士の立場から~

木村 純子1, 臼井 章浩2, 得能 幹生1, 松本 光史3, 中田 康城2 (1.堺市立総合医療センター リハビリテーション技術科, 2.堺市立総合医療センター 救急外科, 3.堺市立総合医療センター 救命救急センター)

<背景><BR>胸骨骨折は、疼痛や胸郭変形に伴い喀痰喀出能力や呼吸機能の低下を呈することがある。しかし、呼吸介助やスクイージングなどの呼吸理学療法は本来禁忌となるため、急性期からの積極的な早期リハビリテーション(早期リハ)開始は困難であることが多い。今回、当院での胸骨骨折患者への介入を通して、自立歩行を早期に獲得するためにはどのような早期リハの介入方法が望ましいのかを理学療法士(PT)の立場から検討する。<BR><対象・方法><BR>2015年7月から2018年7月までに、胸骨骨折と診断され当院救命救急センターに入室した患者は11例。そのうち48時間以内にPTが介入し、呼吸理学療法・早期離床などの早期リハを行った10例を対象とした。平均年齢は65.1歳、性別は男性6例、女性4例であった。それらの入院後経過を後方視的に検討した。<BR><結果><BR>10例中3例は挿管人工呼吸器管理を要した。7例の非挿管患者は、胸部に疼痛はあったものの、フレイルチェストは認めず、自己排痰可能な咳嗽力は保持していた。そのため、受傷当日または翌日には歩行練習が可能であった。挿管患者3例中2例は疼痛により顕著な咳嗽力低下が見られ、SBTでもフレイルチェストが確認できた。受傷後10日目、5日目にそれぞれ観血的整復固定術(ORIF)を施行された。残り1例では深吸気で軽度のフレイルチェストが認められた。疼痛コントロールが良好で咳嗽力も維持できていたため、受傷後5日目に抜管となった。しかし、その後に喀痰量が増え、排痰に疲弊し、同日再挿管の上で気管切開となった。これら3例は挿管中から離床を開始しており、抜管あるいは気管切開当日には歩行練習可能であった。<BR><結論><BR>胸骨骨折では、疼痛コントロールが重要である。よって、適切な除痛ができれば早期から歩行は可能であると考えられる。そのため、PTが介入し、どの姿勢や動作で疼痛が増強するか、疼痛が喀痰喀出能力にどれほど影響しているのかを評価し、医師や看護師と共に対応を検討することが重要と考える。また、早期の歩行獲得には、疼痛コントロール不良やフレイルチェストを認めた場合は、早期固定が望ましいと思われる。