[O71-7] ICUでは人工呼吸管理中でも安全にリハビリテーションを実施できる
【はじめに】近年,ICUにおける入室早期からのリハビリテーションの有用性が報告されている.しかし,ICU入室早期には人工呼吸器が装着されていることでリハビリテーションには制限がかかることが多い.ここでは,人工呼吸管理中のリハビリテーションの安全性について考察する.【方法】2017年10月から2018年8月までに当院救命救急センターICUに入室しリハビリテーションを実施した18歳以上のすべての症例を対象とした.症例を,人工呼吸管理中に実施した群とそうでない群に分け,ICU入室からリハビリテーション開始とベッド端坐位以上の離床までの日数,実施前後でのバイタルサインの変化,中断の有無についてリハビリテーションデータベースから後方視的に検討した.リハビリテーションは,ICU専従医が強度を決定し,理学療法士が設定された目標まで坐位30度から順にステップアップさせる目標指向型理学療法を採用した.また,診療データは強度のステップアップが達成できたときに収集した.【結果】対象となった患者は183例であり,ICU入室時に人工呼吸管理されていた患者は123名 (83%)であった.両群の性別は男性が62% vs 55%,年齢の中央値 (IQR)は68 (53, 78)歳 vs 68 (49, 77)歳 (p=0.75),APACHE2スコアは20 (14, 26) vs 15 (10, 20) (p <0.01)であった.入室からリハビリテーション開始までの日数の中央値 (IQR)は,0.8 (0.6, 1.1)日 vs 0.8 (0.6, 1.3)日 (p=0.94),離床までの日数は1.8 (1.0, 3.4)日 vs 1.5 (0.8, 3.3)日 (p=0.21)であった.また,人工呼吸中にリハビリテーション強度をステップアップした回数は124回,非人工呼吸患者での回数は137回であった.リハビリテーション前後での平均血圧の変化は,87 to 87 mmHg vs 87 to 89 mmHg (p=0.87)と差はなかったが,呼吸数は19 to 20 回/分 vs 20 to 20 回/分(P <0.01)と人工呼吸器群で増加した.リハビリテーションを中断した頻度は,17回 (14%) vs 15回 (11%) (p=0.50)と差はなかった.【考察】人工呼吸管理中でも,入室から離床までの日数は有意に延長しなかった.リハビリテーションの前後で平均血圧に差はなかったが,呼吸回数が上昇した.リハビリテーションを中断した頻度に差はなかった.【結論】人工呼吸管理中でも非装着患者と同様のリハビリテーションを安全に実施することができた.